「木の下で口を開けて柿が落ちるのを待つようなこと」
しかし、韓国は今回もノーベル賞はとれなかった。中央日報(10月11日付)社説は、タイトルからして悔しさを隠さない。「24人目に科学ノーベル賞を受けた日本を眺める苦々しさ」という見出しである。
「リチウムイオン電池の発展功労で化学者である吉野彰氏が10月9日、ノーベル化学賞受賞者に決定された。日本は昨年にも京都大学の本庶佑特別教授が生理医学賞を受けるなど、2年連続でノーベル賞受賞者を輩出して科学技術強国であることを立証した。金大中(キム・デジュン)元大統領のノーベル平和賞1件しか受賞できなかった韓国の現実が新たに対比される」
科学技術分野のノーベル賞は、人類の視野を広げた新しい発見や技術に与えられる。その研究には長い時間がかかる。科学分野のノーベル賞受賞者の平均年齢は57歳。受賞まで計31.2年の歳月が必要だ。蓄積の時間が必要なのだ。ところが、韓国ではすぐ成果を求めるのが現実だと指摘する。
「教育や文化、政策がいずれも実用一辺倒だ。教育は直ちに大学入試に役に立つ国語・英語・数学に焦点が当てられている。幼い生徒が創意的に考え、それを発展させる余裕を許さない。粘り強い研究よりは直ちに使える技術を研究することにこだわる。日本と米国のような先進国から見習って生産技術の発展に固執してきた韓国式発展モデルの限界だ。明治維新後、若い科学者を留学させて1917年アジア最初の基礎科学総合研究所である理化学研究所(RIKEN)を設立した日本と比べ物にならない」
と、日本を大いに評価する。そして、最後はこう嘆くのだった。
「(韓国の)このような環境と風土では、いくら優秀な研究者がいるといっても生き残ることが難しい。政府や企業、国民の認識が一変しなければならない理由だ。今ノーベル賞を待つのは、木の下で口を開けて柿が落ちるのを待つようなことだ。だが、柿が落ちる木さえまともに育てられずにいるのが韓国の現実だ」