日本人はメールをチェックする時間が公私ともに短く、世界最短。一方で、職場でのコミュケーションとしてはメールを筆頭に非対面型の方法を望む割合が他国に比べ高かいことがわかった。ソフトウエア大手のアドビシステムズが、日本や米国、英国などの7か国で実施した「電子メール利用実態調査 2019年版」を、2019年10月10日に発表した。
調査では、日本では電子メールに対する日本の消費者の期待は高く、企業には的確な「パーソナライゼーション」が求められていることなどもわかった。
職場では「対面」望む傾向強いドイツ、フランス
調査では、仕事関連のメールと私用メールをチェックするのに、平日どのくらい費やすかを聞いたところ、日本では、仕事関連のメールは平均77分、私用のメールが53分で、ともに今回調査した7か国で最短だった。最もメールチェックに時間をかけているのはインドで、仕事に334分、私用で241分と、いずれも日本の4倍以上だ。
7か国の平均では、平日に職場のメールチェックにかける時間は3時間(180分)以上となり、日本の場合の短さが際立つ。アドビでは、日本以外の国々では仕事に関してテレワークやフレックスタイムなどが進んでおり、対面でのミーティングが少なく電子メールをより活用する環境にある。そうした違いが、調査結果に表れたとみている。
メールチェックに費やす時間が短い日本だが、「職場でどのようなコミュニケーションを望んでいるか」の問いに、メールを選んだ割合は38%で、こちらは7か国中トップ。他国をみると、米国が33%、オーストラリアが31%、英国の28%が続く。また日本では「電話」を選んだ割合が25%で、こちらも7か国中1位という結果になった。「電話」の2位以下は、インドの20%、ドイツ、フランスが同率の18%で3位だった。
一方で、日本では「対面でのコミュニケーション」を望む人が11%で、ドイツの52%、英国の43%などと比べると圧倒的に低い。アドビでは、この結果も日本とほかの国々とのあいだで「対面ミーティング」をめぐる事情が異なることが理由とみる。ふだん対面でのコミュニケーションが多いため、それで済ませられるものなら、メールや電話でと考えている傾向がありそうだとしている。
今回の調査ではまた、日本では「企業からのプロモーションメールで思わず開きたくなるほどの関心を引くメールの割合」が、2018年から急減したことが目立ったという。
仕事関連のメールでは、33%から20%に、私用メールでも31%から20%に低下した。日本のメールの開封率は69%で、ほかの国々と比べても低くはない。アドビでは「電子メール広告に対して、消費者はより高い期待を持っており、現状の企業のプロモーションに見直しを迫っているということがわかった」と分析している。
なお、調査はアドビが調査会社に委託して日本、米国、英国のほか、フランス、ドイツ、オーストラリア、インドで実施した。各国で10~60代の「就労消費者」を対象に、2019年7月26日~8月6日にオンライン調査を実施。結果は、それぞれ約1000人の回答に基づいて集計した。