日本と韓国の関係が非常によくない。と言っても、それは主に安倍晋三政権と文在寅政権との間のことで、普通の日本人と韓国人がそれほど憎しみ合っているとは思えない。
ところが、いわゆる右派系の月刊誌を見ると、「上から目線」で韓国を見下し、憎しみに満ちた感じのタイトルが躍っている。
総務省の元事務次官「NHKはまるで暴力団と一緒」
たとえば、2019年の10月号、11月号あたりを見ると、
「病根は文在寅」
「韓国という病」
「文在寅という病」
「韓国が消えても誰も困らない」
といった調子である。
「韓国の肩を持つ反日日本人」
というのもあった。
週刊誌では「週刊ポスト」が、「韓国なんて要らない」という特集を組んだ。タイトルの脇には「『嫌韓』ではなく『断韓』だ 厄介な隣人にサヨウナラ」とある。これには、さすがに批判、抗議が殺到して、発行元の小学館は謝罪に追い込まれた。
同じ「上から目線」でも、親が子を、あるいは先輩が後輩を、やさしく諭すのならまだしも、以上のそれは「傲岸不遜」としか言いようがない。
そして最近、こんな表現や発言がさまざまな分野でやたらに目立つのではないだろうか。
雑誌以外では、NHKから国民を守る党(N国)の立花孝志党首は2019年9月19日、動画投稿サイト「ユーチューブ」で、戦争を防ぐには世界の人口を抑制すべきだとの立場から、
「アホみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう」
「ある程度賢い人だけを生かしといて、後は虐殺して」
などと発言している。
かんぽ生命保険の不正販売問題の報道をめぐり、日本郵政グループとNHKとの間でいさかいがあった。どちらに非があるのかは別として、日本郵政の鈴木康雄副社長は2019年10月3日、記者団を前にNHKの取材手法について「まるで暴力団と一緒」と話した。
鈴木氏はかつて、放送行政に携わる総務省にいて、事務次官も務めている。
「虐殺しよう」も「まるで暴力団と一緒」も傲岸不遜な「上から目線」の表現である。もっと穏やかな言い方ができないものだろうか。