【IEEIだより】福島レポート 加害者というレッテルの貼られ方 「炎上」はシステムエラーで起こる 戦略としての反省(1)

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寄り添いと線引き

   エネルギーや原子力にまつわる炎上は、同時に起きた福島についての炎上と、しばしば混同されます。しかし上記の理屈から言えば、これは真逆の現象である、という点には注意が必要だと思います。

   福島にまつわる炎上は、福島県に住む人々を過剰な被害者と設定することで起こります。ですから、福島県の明るい話、前向きな話を積極的に発信し、その被害者性を減らすことは、風評払拭という点で有効な手立てです。

   一方、エネルギー関係者が同じ手法を持って「原子力の風評」を払拭しようとしたらどうなるでしょうか。震災の加害者として世間に「設定」されている業界のそのような態度は、世間の負のイメージを煽ることになりかねません。

   エネルギーに関係される方の中には震災後の福島にもコミットされている方が多いため、どうしても福島の復興と気持ちが同期しがちです。

「福島の方々もこんなに復興しているのだから、自分たちも頑張らなくては」

そういった気持ちの上での寄り添いが、却って誤解を生むこともあり得ると思います。これはエネルギーの関係者に限りません。たとえば福島県について内輪の方がブラックジョークを飛ばしたとしても、

「福島県の住民の方々が笑い飛ばしているのだから、自分も笑ってよいのだ」

ということにはなりません。

   少なくとも公の場ではそれは許されないことでしょう。

   医療者と患者の関係にもあることですが、現場に寄り添いすぎて「立場の差」という客観的視野を見失ってしまうことが、炎上の一因となります。なぜなら炎上は、親しみを込めたつもりの個人の発言を意図的に組織者の発言に挿げ替えることで起きることが多いからです。加害者になりやすい職業の人間は、このことを常に意識しておく必要があります。

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