「日本系企業は儲かっているのに寄付をしない」
ところで10月に入り、日本製品不買運動とは別に、日本企業をやり玉にあげる新たな動きが文在寅(ムン・ジェイン)政権側から出ている。韓国企業が未曽有の景気悪化で苦しむなか、韓国内の日本系企業は大いに儲かっているのに「寄付」をケチっているというのだ。
聯合ニュース(10月1日付「日系の韓国上場企業10社 配当額が5年で100億円超」はこう伝えている。
「韓国の上場企業のうち日本企業(もしくは日本人)が筆頭株主の日本系企業は12社あり、このうち10社が2014年から18年までの5年間に総額1180億ウォン(約106億円)の配当を支払っていたことが10月1日、わかった。金融監督院がこうした内容を含む国政監査資料を国会企画財政委員会に提出した。配当性向が、利益のすべてを配当する100%を上回った企業もある。アルミニウム箔(はく)などを製造する三亜アルミニウムの配当性向が272%で最も高い」
配当性向とは、その期の純利益の中から、株主に配当金をどのくらい支払っているかをパーセンテージで表したもので、ざっくり言うと、配当性向が高いほど儲かっていることになる。金融・ITのBIフィンテックソリューションズの配当性向は143%、建設資材製造のコリアエスイーも116%といった按配で、いずれも韓国上場企業の平均配当性向である約30%を大きく上回っている。
「また、10社の中では配当性向がさほど高くなかったものの、配当額自体が大きかった企業がある。韓国東海カーボンの配当金が5年間で287億2200万ウォン(25億8000万円)、起信精機が233億6000万ウォン(21億円)、エステックが184億1800万ウォン(16億6000万円)などだった」
といったふうに日本系企業の好調ぶりを示す例をあげ、こう結ぶのだった。
「一方、これら12社のうち同じ5年間に寄付をしたのは6社で、計2億7500万ウォン(2500万円)にとどまった。国会企画財政委員会に所属するキム・ドゥグァン議員(与党・共に民主党)は『日本人の筆頭株主の株式保有比率が50%を超える企業は12社中5社で、筆頭株主に企業の利益が固着しているのが実情だ。配当金に比べ寄付金はあまりにも少なく、収益を上げている韓国に社会貢献するには程遠い』と述べた」
つまり、日本系企業は韓国企業を大きく上回るレベルで儲かっているのに、日本の株主ばかりに利益が吸い上げられ、儲けの源泉となった韓国内で何も貢献していない、というわけだ。ただし、この記事では韓国内の財閥系企業がどの程度「寄付」をしているのかは明らかにしていない。