ファーウェイ当初から5Gに照準
1980年代から進化を続けている通信分野だが、1Gから現在までの4Gまでは、欧米や日本の企業がリードしてきた。その技術を応用してファーウェイは87年に創業。元人民解放軍の技師だった任正非CEO(最高経営責任者)が、5人の仲間と興した。
1990年代半ばにロシアで商機をつかみ、途上国の通信インフラ整備で成長を遂げる。
その後、欧州各国、日本、米国へと進出したが、2012年に米下院委員会が、ファーウェイなどの中国の通信会社について「中国共産党政権との関係に重大な懸念がある」とする報告書を提出。これで「スパイ企業」扱いされたことで逆風が吹き始める。
だが、ファーウェイはそんなことにめげなかった。15年には通信基地局やルーター、モデムなどの通信機器分野で世界最大メーカーとなる。そればかりか、スマートフォン市場では19年第1四半期に、1位サムスン(21%)に続いて17%で2位に着け、アップル(3位、12%)の上を行く健闘ぶりをみせた。
5G時代のけん引役に擬せられるようになったのは、こうした急成長ぶりがあったからばかりではなく、その利益を投じて進めた研究開発によるという。ファーウェイでは売り上げの10%を研究開発費に回すことを「保証する」と定められており、18年のその額は約1兆6000億円。世界5位のレベルで、日本企業では最高額を誇るトヨタ自動車(18年=1兆800億円)を上回る。
その成果の一つが、国際特許の蓄積。世界知的所有機関(WIPO)によると、18年の国際特許出願件数は、ファーウェイは5405件で1位。2位の三菱電機は2812件、3位の米インテルが2499件だから、ダントツなのだ。
「しかも、ファーウェイの出願した特許の多くが5G関連。国別でも中国5万3345件で、アメリカの5万6142件に肉薄しており、19年にはアメリカを抜いて世界トップに立つ勢い」をみせている。