しわやしみの悩みに応える基礎化粧品「ドモホルンリンクル」を製造・販売する再春館製薬所(熊本県益城町)が、海外進出に伴い本社・熊本ヒルトップで雇用した外国人社員が100人(2019年7月現在)に到達した。
同社の海外事業は、「ドモホルンリンクル」の生産とサービスの拠点を「熊本に置いたまま」で、100人の外国人社員は「熊本」で海外ユーザーの満足度を高めることに努めている。その成果が着実に実を結んでいる。
海外事業でも「製販一体」を貫く
再春館製薬所の海外事業は、2011年の香港からスタート。翌12 年に台湾、18年にはタイでの通信販売を開始した。海外事業の売上高は毎年右肩上がりで増加しており、現在24億円まで成長している。また台湾では、品質だけでなく、特徴的な販売方法や独自のメソッド「お手当て」が話題となり、日本製化粧品を代表するブランドに成長している。
海外事業に力を入れているものの、「ドモホルンリンクル」の生産とサービスの拠点を熊本本社に置く「製販一体」の体制は一貫しており、海外進出に伴う外国人材の招へい、雇用も熊本本社に一元化。本社の熊本ヒルトップで働く外国人材は2019年7月現在で、100人に達した。
国内外を問わず、WEBによる問い合わせはすべて熊本・本社のコールセンターに接続。日本最大級を誇るワンフロアのコールセンターには、正社員として働いている台湾やタイ、中国、香港出身の「お客様プリーザー」が60人規模で在籍。現場の管理や社員教育を担うトレーナーも7人になった。
同社は、創業以来「いつもお客様に最高の品質と安全をお届けすること」を追求。全国のみならず、海外のユーザーに届ける「ドモホルンリンクル」も、本社がある熊本県益城町の自社工場ですべて製造。台湾やタイの発送拠点へ、こまめに輸送することで長く留め置かず、かつ注文に応じて当日または翌日の届けることを実現した。また、香港や中国をはじめ、世界各国のお客にも熊本から直接発送している。
こうした「製販一体」を徹底するため、外国人社員の雇用や教育も、地元・熊本で自らが手がけるという独自のスタイルを構築した。日本の社員と外国人社員がコールセンターで、ともに日常的にコミュニケーションを重ねることで、同社が大切にしている「お客様を想う心や行動」を醸成。日本国内と同様の、高品質でキメ細やかなサービスを、現地ではなく「遠隔」で、台湾やタイに提供している。
昼寝のための「ジップルーム」を用意
再春館製薬所では、通信販売という「顔の見えない」販売スタイルゆえ、コールセンターでのユーザーとの応対は「人」と「人」とのつながりを大切することを心がけている。単に注文を受けるだけではなく、ユーザーの気持ちを推し量り、親身になってアドバイスを進めるなど、電話応対についても独自のノウハウを培ってきた。
その一方で、熊本本社で働く外国人社員が働きやすいよう、各国の文化や習慣を尊重し、それに合わせた職場環境づくりに取り組んでいる。
安心して暮らせる寮の完備や帰国支援(帰国費用のサポートや8日以上の連休など)、故郷の家族を招いての会社見学、昼寝のための「ジップ(活力・元気)ルーム」の設置などに取り組む。
2019年4月には外国人材の雇用拡大を目的に、改正入国管理法が施行された。どの業界・職種も人手不足にあって、外国人材の積極雇用は「待ったなし」だが、その定着や働きやすさへの配慮など、事業所の解決すべき課題も少なくない。