「仕事は振られてなんぼ」「無茶ぶり」をどうこなすかで人の真価がわかる(高城幸司)

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仕事を振られることは「チャンス」を与えられていること

   では、私たちに仕事を振る、そしてしばしば無理難題を言いつけてきて悩みのタネとなる上司、あるいはもっと偉い人はどうなのか? こんな疑問が浮かびそうです。

   彼らにしても、新しい業務分野を開拓するなど、自ら戦略を立てて仕事をつくる機会が多いのは間違いないのですが、日常の仕事の多くは「振られる」ことによって成立しています。社長や役員だって例外ではありません。

   ある会社の営業部長が、社長にこう切り出しました。

「社長、お客さま感謝のパーティーに出席いただきたく、日程の調整を......」
「わかった。では秘書にスケジュールを確認して、開催日を固めてくれ」
「ありがとうございます。できれば、オープニングでご挨拶をいただきたく......」
「ああ、もちろん。挨拶の文案は営業担当役員のC君と練ってくれないか」
「承知しました。ではCさんにもその旨、お伝えして相談いたします」

   営業部長から社長、社長から役員に仕事が振られました。このように仕事は「振って、振られて」を繰り返し、イベントのプランが進行していくのがわかります。仕事というものは、そのほとんどが「発注と受注」という流れの中で生まれます。

   この「受発注」の流れは、会社の中だけでなく、たとえば顧客や取引先、株主などの利害関係者との間でも存在し、連綿とつながっています。スポーツ界、芸能界に限らず、ビジネスの世界でも「仕事を干される」という表現はよく使われます。説明するまでもなく、「干される」というのは仕事を「発注」してもらえない状況です。

「自分は、仕事を振られてばかりだ。つまらない」

   と嘆く人をよく見かけますが、働く機会を与えられるということは、それだけ頼りにされているということ、チャンスを与えられているということです。

   働く人間にとって、最も恐れなければいけない状況、それは業種や職種、階層にまったく関係なく、「仕事を干される」ことなのです。

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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