あなたの近所、あなたが通院する病院がなくなるかも? 置き去りにされる地域住民......(鷲尾香一)

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

公立病院の再編・統合は医療財政の健全化にも資する

   厚労省は地域の特性も鑑み、今回の分析結果を自治体に通知し、都道府県が設ける会議などで再編や統合を議論して、2020年9月末までに結論を出すよう求め、再編や統合を2025年までに終えるように要請する。

   確かに、公立病院では経営難に陥っているところもあり、自治体からの繰入金は年間で総額8000億円を上回っている。公立・公的病院の再編統合は、医療財政の健全化にも資する。

   しかし、病院、特に公立病院の再編・縮小は地域住民にとってみれば大問題だ。実際に、千葉県銚子市では2009年に財政難などによって市立病院の休止を決めた市長に対して、解職請求(リコール)が成立している。

   すでに、静岡県は各圏域で状況を検証したうえで年度内にも「反論書」を国に提出する方針を決めている。静岡県と同様に反論する自治体が増加することも予想され、公立病院の再編・縮小は一筋縄でいくとは思えない状況だ。

   地域住民などとの十分な議論を重ねたうえでの再編・統合が進むことが、何もより肝要なのだ。(鷲尾香一)

※ なお、以下に「再編統合について特に議論が必要」とされた病院名を、都道府県別に掲載した。

「再編統合について特に議論が必要」とされた病院

<北海道>
北海道社会事業協会函館、木古内町国保、国立病院機構函館、市立函館南芽部、函館赤十字、函館市医師会、森町国保、松前町立松前、厚沢部町国保、奥尻町国保、長万部町立、八雲町熊石国保、せたな町立国保、今金町国保、北海道社会事業協会岩内、国保由仁町立、市立三笠総合、国保町立南幌、国保月形町立、栗山赤十字、市立芦別、北海道社会事業協会洞爺、地域医療機能推進機構登別、白老町立国保、日高町立門別国保、新ひだか町立三石国保、新ひだか町立静内、市立旭川、国保町立和寒、JA北海道厚生連美深厚生、町立下川、上富良野町立、猿払村国保、豊富町国保、利尻島国保中央、中頓別町国保、斜里町国保、小清水赤十字、JA北海道厚生連常呂厚生、滝上町国保、雄武町国保、興部町国保、広尾町国保、鹿追町国保、公立芽室、本別町国保、十勝いけだ地域医療センター、清水赤十字、町立厚岸、JA北海道厚生連摩周厚生、標茶町立、標津町国保標津、町立別海、市立美唄=54か所
【東北地方】
<青森>
国保板柳中央、町立大鰐、国保おいらせ、国保南部町医療センター、国保五戸総合、三戸町国保三戸中央、青森市立浪岡、平内町国保平内中央、つがる西北五広域連合かなぎ、黒石市国保黒石=10か所
<秋田>
大館市立扇田、湖東厚生、市立大森、地域医療機能推進機構秋田、羽後町立羽後=5か所
<岩手>
国立病院機構盛岡、岩手県立東和、岩手県立江刺、奥州市国保まごころ、一関市国保藤沢、洋野町国保種市、岩手県立一戸、岩手県立軽米、盛岡市立、奥州市総合水沢=10か所
<宮城>
蔵王町国保蔵王、丸森町国保丸森、地域医療機能推進機構仙台南、国立病院機構仙台西多賀、国立病院機構宮城、塩竈市立、宮城県立循環器・呼吸器病センター、栗原市立若柳、大崎市民病院岩出山分院、公立加美、栗原市立栗駒、大崎市民病院鳴子温泉分院、美里町立南郷、湧谷町国保、石巻市立牡鹿、登米市立米谷、登米市立豊里、石巻市立、南三陸=19か所
<山形>
天童市民、朝日町立、山形県立河北、寒河江市立、町立真室川、公立高畠、酒田市立八幡=7か所
<福島>
済生会川俣、地域医療機能推進機構二本松、三春町立三春、公立岩瀬、福島県厚生連鹿島厚生、福島県厚生連高田厚生、福島県厚生連坂下厚生総合、済生会福島総合=8か所
【関東地方】
<栃木>
地域医療機能推進機構うつのみや、国立病院機構宇都宮=2か所
<群馬>
群馬県済生会前橋、伊勢崎佐波医師会、公立碓氷、下仁田厚生=4か所
<茨城>
笠間市立、小美玉市医療センター、国家公務員共済組合連合会水府、村立東海、国立病院機構霞ケ浦医療センター、筑西市民=6か所
<千葉>
千葉県千葉リハビリテーションセンター、国立病院機構千葉東、地域医療機能推進機構千葉、千葉市立青葉、銚子市立、国保多古中央、東陽、南房総市立富山国保、鴨川市立国保、国保直営君津中央病院大佐和分院=10か所
<埼玉>
蕨市立、地域医療機能推進機構埼玉北部医療センター、北里大学メディカルセンター、東松山医師会、所沢市市民医療センター、国立病院機構東埼玉、東松山市立市民=7か所
<東京>
国家公務員共済連九段坂、東京都台東区立台東、済生会支部東京都済生会中央、東京大学医科学研究所付属、東京都済生会向島、地域医療機能推進機構東京城東、奥多摩町国保奥多摩、国立病院機構村山医療センター、東京都立神経、国民健康保険町立八丈=10か所
<神奈川>
川崎市立井田、三浦市立、済生会平塚、秦野赤十字、国立病院機構神奈川、相模原赤十字、東芝林間、済生会神奈川県、済生会若草、横須賀市立市民=10か所
【中部】
<新潟>
新潟県立坂町、新潟県立リウマチセンター、新潟県厚生連新潟医療センター、国立病院機構西新潟中央、豊栄、あがの市民、新潟県立吉田、三条総合、新潟県立加茂、見附市立、国立病院機構新潟、厚生連小千谷総合、新潟県立松代、新潟県立妙高、上越地域医療センター、新潟県立柿崎、新潟県厚生連けいなん総合、魚沼市立小出、南魚沼市立ゆきぐに大和、町立湯沢、労働者健康福祉機構新潟労災、佐渡市立両津=22か所
<富山>
あさひ総合、富山県厚生連滑川、富山県リハビリテーション・こども支援センター、かみいち総合、地域医療機能推進機構高岡ふしき=5か所
<石川>
国保能美市立、国家公務員共済組合連合会北陸、津幡町国保直営河北中央、町立富来病院、町立宝達志水、公立つるぎ、地域医療機能推進機構金沢=7か所
<福井>
国立病院機構あわら、坂井市立三国、越前町国保織田、地域医療機能推進機構若狭高浜=4か所
<山梨>
地域医療機能推進機構山梨、北杜市立塩川、韮崎市国保韮崎市立、北杜市立甲陽、山梨市立牧丘、甲州市立勝沼、身延町早川町国保病院一部事務組合立飯富=7か所
<静岡>
JA静岡厚生連リハビリテーション中伊豆温泉、伊豆赤十字、国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター、JA静岡厚生連清水厚生、JA静岡厚生連静岡厚生、地域医療機能推進機構桜ケ丘、菊川市立総合、市立御前崎総合、公立森町、浜松赤十字、市立湖西、JA静岡厚生連遠州、労働者健康福祉機構浜松労災、共立蒲原総合=14か所
<長野>
川西赤十字、佐久穂町立千曲、長野県厚生連佐久総合病院小海分院、東御市民、国保依田窪、長野県厚生連鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯、長野県厚生連下伊那厚生、下伊那赤十字、国立病院機構まつもと医療センター松本、国立病院機構まつもと医療センター中信松本、安曇野赤十字、飯綱町立飯綱、長野県立総合リハビリテーションセンター、信越、飯山赤十字=15か所
<岐阜>
岐阜県厚生連岐北厚生、羽鳥市民、岐阜県厚生連西美濃厚生、県北西部地域医療センター国保白鳥、国保坂下、市立恵那、岐阜県厚生連東濃厚生、国保飛騨市民、厚生会多治見市民=9か所
<愛知>
津島市民、あま市民、一宮市立木曽川市民、愛知県心身障害者コロニー中央、みよし市民、碧南市民、中日、国立病院機構東名古屋、ブラザー記念=9か所
【近畿】
<三重>
三重県厚生連三重北医療センター菰野厚生、三重県厚生連大台厚生、済生会明和、町立南伊勢、市立伊勢総合、桑名南医療センター、亀山市立医療センター=7か所
<滋賀>
地域医療機能推進機構滋賀、大津赤十字志賀、守山市民、東近江市立能登川、長浜市立湖北=5か所
<奈良>
済生会中和、奈良県総合リハビリテーションセンター、済生会御所、南和広域医療企業団吉野、済生会奈良=5か所
<京都>
国立病院機構宇多野、市立福知山市民病院大江分院、舞鶴赤十字、国保京丹波町=4か所
<大阪>
大阪市立弘済院附属、仙養会北摂総合、市立藤井寺市民、冨田林、済生会支部大阪府済生会新泉南、和泉市立、生長会阪南市民、健保連大阪中央、高槻赤十字、市立柏原=10か所
<和歌山>
海南医療センター、国保野上厚生総合、済生会和歌山、国保すさみ、那智勝浦町立温泉=5か
<兵庫>
兵庫県立リハビリテーション中央、国家公務員共済連六甲、高砂市民、明石市立市民、多可赤十字、公立豊岡病院組合立豊岡病院出石医療センター、公立香住、公立豊岡組合立豊岡病院日高医療センター、公立村岡、国立病院機構兵庫中央、兵庫県立姫路循環器病センター、相生市民、たつの市民、加東市民、柏原赤十字=15か所
【中国】
<鳥取>
岩美町国保岩美、日南町国保日南、南部町国保西伯、鳥取県済生会境港総合=4か所
<島根>
国立病院機構松江医療センター、地域医療機能推進機構玉造、出雲市立総合医療センター、津和野共存=4か所
<岡山>
備前市国保市立備前、岡山市久米南町組合立国保福渡、総合病院玉野市立玉野市民、せのお、備前市国保市立吉永、労働者健康安全機構吉備高原医療リハビリテーションセンター、瀬戸内市立瀬戸内市民、赤磐医師会、笠岡市立市民、矢掛町国保、国立病院機構南岡山医療センター、井原市立井原市民、鏡野町国保=13か所
<広島>
北広島町豊平、国家公務員共済連吉島、広島市医師会運営・安芸市民、広島県済生会呉病院、呉市医師会、国家公務員共済連呉共済病院忠海分院、日立造船健保組合因島総合、三原市医師会、府中北市民、国立病院機構広島西医療センター、総合病院三原赤十字、府中市民、総合病院庄原赤十字=13か所
<山口>
岩国市立錦中央、岩国市立美和、光市立大和総合、周南市立新南陽市民、地域医療支援病院オープンシステム徳山医師会、光市立光総合、美祢市立美東、美祢市立、小野田赤十字、下関市立豊田中央、岩国市医療センター医師会、厚生連小郡第一総合、国立病院機構山口宇部医療センター、山陽小野田市民=14か所
【四国】
<徳島>
国立病院機構東徳島医療センター、徳島県鳴門、阿波、海陽町国保海南、国保勝浦、阿南医師会中央=6か所
<香川>
国立病院機構高松医療センター、香川県厚生連滝宮総合、さぬき市民、済生会支部香川県済生会=4か所
<愛媛>
国立病院機構愛媛医療センター、宇和島市立吉田、宇和島市立津島、西条市立周桑、鬼北町立北宇和、愛媛県立南宇和=6か所
<高知>
JA高知、佐川町立高北国保、地域医療機能推進機構高知西、いの町立国保仁淀、土佐市立土佐市民=5か所
【九州】
<福岡>
福岡県立粕屋新光園、嶋田、嘉麻赤十字、飯塚嘉穂、労働者健康安全機構総合せき損センター、川崎町立、中間市立、遠賀中間医師会おんが、北九州市立総合療育センター、芦屋中央、宗像医師会、国立病院機構大牟田、飯塚市立=13か所
<佐賀>
小城市民、国立病院機構東佐賀、地域医療機能推進機構伊万里松浦、町立太良、多久市立=5か所
<長崎>
日本赤十字社長崎原爆、国保平戸市民、平戸市立生月、市立大村市民、日本赤十字社長崎原爆諫早、長崎県富江、北松中央=7か所
<大分>
杵築市立山香、臼杵市医師会立コスモス、竹田医師会=3か所
<宮崎>
地域医療機能推進機構宮崎江南、国立病院機構宮崎東、五ケ瀬町国保、日南市立中部、えびの市立、都農町国保、国立病院機構宮崎=7か所
<熊本>
国保宇城市民、国立病院機構熊本南、小国公立、天草市立牛深市民、熊本市医師会熊本地域医療センター、熊本市立植木、熊本市立熊本市民=7か所
<鹿児島児>
済生会鹿児島、鹿児島市医師会、鹿児島厚生連、鹿児島赤十字、枕崎市立、南さつま市立坊津、肝付町立、公立種子島=8か所
<沖縄>
なし

鷲尾香一(わしお・きょういち)
鷲尾香一(わしお・こういち)
経済ジャーナリスト
元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで、さまざまな分野で取材。執筆活動を行っている。
姉妹サイト