2019年9月26日、厚生労働省は2017年度時点の全国1652の公立・公的病院について、「再編統合について特に議論が必要」する分析をまとめ、病院名を公表した。
※参考リンク:厚生労働省 第24回地域医療構想に関するワーキンググループ
政府は団塊の世代の全員が75歳以上になる2025年度に、必要なベッド数などを定めた「地域医療構想」を検討している。これは少子高齢化により集中的な医療が必要な「急性期」病床が過剰となり、リハビリや在宅医療につなげる「回復期」病床の需要が増加すると予測されているためだ。
高度医療の診療実績が少ない、近隣の民間病院に代替可
2025年に必要な入院ベッド数を、今より5万床ほど少ない119万床と推計している。
そこで、診療実績が少なく、非効率な医療を実施している病院を洗い出すため、重症患者向けの「高度急性期」、一般的な手術をする「急性期」に対応できる全国1652の公立・公的病院のうち、人口100万人以上の区域に位置する病院などを除いた1455病院の診療実績をもとに診療状況を分析した。
分析には、がん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期・災害・へき地・研修・派遣機能の9項目について、消化器悪性腫瘍手術、心筋梗塞などに対する急性期心臓カテーテル手術、脳卒中合計、救急車の受入台数、小児入院医療管理料・新生児集中治療室管理料などの分娩件数を診療実績とし、さらに似たような診療実績を持つ医療機関が「クルマで20分以内」の場所にあるかを分析。高度な医療の診療実績が少ない病院や近隣に機能を代替できる民間病院がある病院を「再編統合について特に議論が必要」と位置付けた。
この結果、424病院(公立257か所、公的167か所)が「再編統合について特に議論が必要」となり、病院名が公表された。
この内訳を見ると、診療実績が特に少ないという病院が277か所、近隣に似たような機能を持つ医療機関があるという病院が307か所となっている。都道府県別では、多かったのは北海道(54か所)、新潟県(22か所)、宮城県(19か所)、長野県、兵庫県(15か所)、少なかったのが沖縄県(ゼロ)、栃木県(2か所)、大分県(3か所)、京都府、福井県、鳥取県、島根県、香川県(4か所)、などとなっている。