PayPayやLINE Pay、楽天Pay、メルペイ、OrigamiPay 、FamiPay......。QRコードやバーコードを使ったスマートフォン決済サービスを提供する各社が、2019年10月1日の消費増税を目前に、キャンペーンを展開している。便利さをアピールして利用者を増やそうという狙いがある。
こうした大々的なキャンペーンに加え、キャッシュレス化を促進したい政府の「旗振り」もあって、時代の寵児となった「スマホ決済」。とはいえ、そんな華々しいイメージとは裏腹に、まだ4人に1人程度しか利用していない実態を前回はお伝えした。
今回はJ.D. パワーの「2019年QRコード・バーコード決済サービス顧客満足度調査」から、QRコード・バーコード決済を実際に利用した消費者の「生態」に迫ってみた。
爆発的なキャンペーンの威力
利用者の多くはいつ、どのようなきっかけで、QRコード・バーコード決済を使い始めたのだろうか――。
J.D. パワーの調査結果をみると、主に利用しているQRコード・バーコード決済サービスアプリを、スマホにダウンロードした時期は、「半年以内」が全体の3割弱で最も多かった。一方で半年以上前にダウンロードした消費者は全体の2割だった。
また、サービスを利用し始めた理由は「ポイントが付与される」が55%、そして「各種キャンペーンが魅力的だった」が50%。2018年10月頃から2019年初頭にかけて話題をさらったPayPayなどの100億円規模のキャンペーンをきっかけに、多くの消費者が利用を始めたことは想像に難くない=下図参照。
そんな大規模キャンペーンの陰に隠れがちだが、じつはスマホ決済サービスの中には、2018年より前にローンチしていたサービスもある。しかし、この調査結果を見る限りは、利用者の多くは半年以内に利用を始めた「ビギナー」だ。いかにキャンペーンの影響力が大きかったか、よくわかる。
しかも、キャンペーン一辺倒でダウンロードしたままかと思いきや、利用頻度も低くなく、半数以上のユーザーは1週間に1回以上利用している。
男女別にみると、1週間に1回以上利用する男性が約6割に対して、女性の場合は約4割と、男性の利用がより頻繁だ。これは単純に性別で利用意向に差が出ている可能性もあるが、男性のほうがスマホ決済に対応している店舗の利用率が高い、もしくは女性の利用頻度が高い店舗ではスマホ決済対応がまだ普及してないというケースも想定できる。
たとえば、コンビニではスマホをかざして決済するシーンをよく見かけるが、主婦層がよく利用するスーパーや食料品店ではまだスマホ決済は一般的でない。こうした差が、性別による利用頻度の差をもたらしているのかもしれない。