その99 多過ぎる「新聞休刊日」「こんなものいらない!?」(岩城元)

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「デジタルへ どうぞ」は「敗北宣言」だ!

   僕も長年、新聞社で記者をしていたから、以上二つの理由は理解できなくもない。でも、僕が記者になった半世紀ほど前は、休刊日は正月とゴールデンウィークの2回だけだった。しかも、最近は夕刊がだんだんなくなってきたが、当時は日曜日も祝日も夕刊があった。配達は今よりも大変だった。

   いま休刊日を知らせる社告には、最新ニュースは(新聞の代わりに)「朝日新聞デジタルでご覧ください」「毎日新聞ニュースサイトで......」「読売新聞オンラインで......」と書いてある。これを読むたびに、僕は情けなくなる。「デジタルがあれば、新聞なんてなくても大丈夫です」と言っているみたいである。「敗北宣言」のようにも聞こえる。

   休刊日で新聞の製作は休んでいても、記者たちは取材をしている。それなのに、結果を伝える媒体はデジタルだけになってしまう。僕もデジタルでニュースを見ているが、新聞に慣れた身にとっては、なんとなく物足りない。

   デジタルは確かに重要である。これからの主流だろう。しかし、新聞社には、いたずらに休刊日を増やすのではなく、歯を食いしばってでも、可能な限り「紙」の新聞を届けるという「矜持(きょうじ)」を示してもらいたい。元記者の身びいきかもしれないけれど、新聞を読まない人が増えているだけに、余計にそう思うのである。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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