「出戻り就職」女性に根強い復帰希望! メリット、デメリットを専門家に聞いた

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退職は「会社との永遠の別れ」ではない

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、今回の調査についてしゅふJOB総研の川上敬太郎所長に聞いた。

   ――約6割の女性が「元の職場に戻りたい」と答え、実際に全体の13%強、約7人に1人が「出戻り就職」をしています。この数は多いのでしょうか、少ないのでしょうか。

川上敬太郎さん「前職のことが嫌になって辞めた場合は、戻りたいという気持ちにはならないから、半数以上が嫌で辞めたわけではなく、夫の転勤や出産など、何らかの致し方ない理由で退職せざるを得なかったと思います。仕事と家庭を両立したいと考える『働く主婦層』に特化した調査とはいえ、この数字は多いと感じました。従来、元いた会社に復帰することが一般的でなかったことを考えると、逆にこれまでにも復帰した経験がある人は、実は意外といるという風にとらえています」

   ――アルムナイ制度のように、元社員が復帰できる制度をつくってくれという人が9割近くもいました。企業がこの制度を導入する場合、どんな点に気を付けたらいいでしょうか。

川上さん「メリットの多い制度ですが、導入する際の注意点がいくつかあると思います。特に重要なのは復帰後の職場がスムーズに運営される体制づくりだと考えます。次の3つがポイントになるのではないでしょうか。まず、アルムナイを積極的に受け入れる方針を社内外に周知すること。次に、元社員の復帰を前提とした就業規則や賃金規定を整備しなおすこと。最後に重要なのは、復帰社員と既存社員とのコミュニケーションケアをしっかりすることです」

   ――かつては、中途退職を会社への「裏切り行為」のようにとらえる風潮もありましたね。

川上さん「そのとおりです。しかし、退職を『会社との永遠の別れ』ととらえる考え方は時代にそぐわないと考えます。日本の雇用慣行は長い間、新卒採用⇒年功序列賃金⇒終身雇用という流れでした。社会に出て最初に入社した会社で、最後まで勤め上げることを基本とする考え方です。その前提に立つと、退職は異常事態であり、終身で面倒を見る代わりに新卒から手塩にかけて育ててきた会社としては、裏切り行為のようにとらえるでしょう。その背景には、社員を自社だけの財産とみる考え方があります」
「しかし、アルムナイ制度や出戻り就職が一般的になれば、社員を社会の財産としてとらえ、その能力をシェアする考え方に変わっていくでしょう。いま自社に所属している社員は、いずれ他社に所属するかもしれず、また自社に戻ってくるかもしれない。となれば、一度退職しても永遠の別れという感覚ではなくなると思います。 経団連会長が終身雇用を続けるのは難しいと発言したように、会社と社員の関係は過渡期にあります。出戻り就職は、これからどんどん浸透していくのではないかと考えます」

   なお調査は2019年5月22日~5月31日、インターネットを通じて「しゅふJOBパート」などに登録する主婦・主夫層744人に聞いた。

(福田和郎)

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