働き方改革を推進し、率先して長時間労働を是正しなくてはならない国家公務員は、毎月どのくらい残業しているのだろうか――。
残業時間ランキングのトップ3は、財務省、文部科学省、経済産業省で、いずれも月70時間超えという結果となった。過労死ラインは80時間といわれるから危険水域だ。
一方、最も少ないのが裁判所で、約9時間だった。いったいどういう働き方をするとこんなに差が出るのか。
長時間労働の元凶は「国会対応」
この「国家公務員の残業時間ランキング」は、就職・転職のジョブマーケット・プラットフォーム「Open Work」を運営するオープンワークが2019年9月24日に発表した。調査は、8月までにOpen Workに投稿された会員による自分の勤務先である中央官公庁への評価レポート5653件をもとに行われた。回答が10件以上ある中央官庁に限定してランキングを作成した=別表参照。
会員による評価レポートには、残業時間などとともに「クチコミ」による職場の実態報告がある。それによると、「不夜城」と呼ばれることもある「霞が関」だが、残業上位官庁の職員のクチコミから見えてきたのは、「国会対応」というキーワードだった。
「国会対応」とは、国会で質問を受ける省庁大臣らの答弁を作成する重要な業務だ。まず、質疑の前日に議員から「質問通告」を受けると、各省庁に答弁が割り振られて答弁作成が始まる。公務員の働き方改革のために内閣人事局が行った「国会対応の実態調査」によると、「質問通告」が終わる平均時刻は午後8時19分、各省庁への割り振りが確定する平均時刻は午後10時28分となっており、それから答弁作成が始まるから、当然、徹夜は必至だ。
口コミからは国家公務員たちの悲壮な声が聞こえてくる。たとえば、財務省――。
「やや改善していこうとする動きは見られるが、ワークライフバランスに対する意識は民間企業に比べると乏しい。国会や政治家等への突発的な対応が求められることも多く、プライベートを犠牲にされることも多々あり」(財務省、男性 企画・調査)
「国会業務や予算編成、税制改正など長時間労働が基本なので、ワークライフバランスは諦めざるを得ない」(財務省、男性 事務職)