現在の有給休暇日数を知ろう
ところで、みなさんは自分の年次有給休暇が何日あるか、きちんと把握していますか――。本来、賃金は働いたことに対する報酬なので、ノーワークノーペイ(No work No pay)が原則です。会社側からすると、働いた実績がなければ、報酬としての賃金を支払う責任はありません。しかし、労働基準法では労働者を守るために、病気などで働けなくても報酬をもらえる日として「年次有給休暇」の制度を設けたわけです。
労働基準法(改正法)では、次の条件を満たした社員(労働者)は、年次有給休暇をもらえると規定しています。
(1)雇入れの日から6か月継続して雇われている
(2)全労働日(働くべき日)の8割以上を出勤している
の2点です。
また、この条件はいわゆる正規雇用者、非正規雇用者を問いません。正規雇用者だけでなく、パートやアルバイトの人も、上記の条件を満たして働けば、年次有給休暇がもらえます。
ただし、一週間の勤務日数、勤続年数によってもらえる(付与される)年次有給休暇の日数は違ってきます。いわゆる正規雇用者で、週5日・30時間以上勤務の人の付与日数は、以下のとおりです。
入社日から0.5年目、いわゆる半年経った日(4月1日入社ならば10月1日)を「基準日」といい、その「基準日」に会社はその社員に「10日」の年次有給休暇を与えなければならないと規定されています。
上記の2つの条件を次の1年間に満たして、翌年(1.5年目)の「基準日」を迎えれば今度は「11日」(給与明細書にある平松さんは、10月からこれに該当します)が与えられ、それに前年までの未消化分の年次有給休暇の日数が加算され、「基準日」以降の1年間の年次有給休暇日数となります=下表参照。
そして、入社して6.5年目の「基準日」からは毎年20日の年次有給休暇が付与されます。また、この年次有給休暇には「2年の時効」がありますので、1年間の年次有給休暇日数は最大40日が上限になります(ただし、繰り越し日数は会社によって規定が異なります)。
つまり、給与明細書の「残年休日数」の記載は、多くの会社が前年の繰り越し分を含む、最大40日になるわけです。
またパートやアルバイト・パートの人(週4日勤務以下かつ週30時間未満の労働時間)の年次有給休暇の付与日数は、就業実態に合わせて比例付与という制度が適用されます。その付与日数は以下の表のとおりです。
ちなみに、最近はこの入社日から半年目の「基準日」を、労働基準法に違反しない範囲で変更して、設定している会社が増えてきています。中途採用の人が多い中小企業などでは、それぞれ「基準日」が異なると、その管理が煩雑になるからです。
たとえば、4月1日から9月30日までに入社した人は、基準日を4月1日にして10日を与える。10月1日から3月31日までに入社した人は、基準日を10月1日にして10日を与える、といった具合に、会社としての基準日を4月1日と10月1日の2日に統一して管理しやすくしたりしています。
このように、自分の年次有給休暇付与の「基準日」がいつなのかを確認したうえで、年次有給休暇が何日あるかを覚えておきましょう。(安藤文芳)
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