年次有給休暇「最低5日」は休むこと! 自分がどれだけ休んだか「勤怠」をみればわかる

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就業規則、確認したほうがいいかも!?

   今回、労働基準法が改正された背景には「日本人の働きすぎ」があります。そこで政府は社員に、半ば強制的に5日間の有給休暇を取らせようというのです。とはいえ、会社の実態、なかでも中小企業のそれを考えると、かなり厳しい法律であることは間違いありません。

   社員に有給休暇を取らせなければ、会社には罰金が科せられます。また、社員の休暇の管理に手間もかかります。

   会社も考えました。現在、会社には独自で決めた年末年始休暇や8月のお盆休み(夏季休暇)が設けられていると思います。これらの休日は有給休暇扱いですが、法律の改正前には年末年始休暇や夏季休暇とは別に、年次有給休暇が取得できていたはずです。

   ところが、もともと会社が独自で決めていた年末年始休暇や夏季休暇を、年次有給休暇の5日間に当てはめてしまえば、法律で定められた5日間を超えて取得させることができ、自動的にクリアすることができます。

   一方、社員にとっては年次有給休暇の日数が5日間、自動的に減ってしまいます。これは労働契約法の就業規則の不利益変更違反条項に抵触することになると考えられます。

   つまり、会社は社員採用時の募集要項や就業規則に年末年始休暇や夏季休暇について定めがない場合や、社員の自発の意思での合意がない限り、年末年始休暇や夏季休暇などの法定外休日を有給休暇の取得義務の5日間に充てることはできない可能性があります。

   年末年始や夏季休暇を年次有給休暇の日数にカウントしていいのか、これが不利益変更に当たるかどうかは、この法律が4月に始まったばかりで適用されたケースがないため、現時点では判断できません。

   今後、こうした事例が起こっても、労働基準監督署も最初は注意喚起にとどめるでしょう。また、法律に違反したからといって、いきなり罰則が適用されるということもありません。

   ただ、会社で働く立場としては、就業規則などを確認しておく必要がありそうです。

あんどう ふみよし
安藤 文芳(あんどう・ふみよし)
特定社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー
早稲田大学法学部卒業。2007年、社会保険労務士試験合格。以来、多くの人が労働法を知らないがゆえの事故・事件に遭ったり、社会保障制度を知らないがゆえの不利益を被らないよう、学校教育を軸に啓蒙活動に取り組み、現在に至る。
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