その人を理解するために知っておくこととは......
――具体的には、どのようなお話をするのでしょうか。
岡村「まずはその人を知る、理解することです。たとえば、入社後よりも入社前の話を比較的多く話していただくようにしています。小学校や中学校時代、どう過ごしてきたとか、好きだった科目、ご両親との関係や思い出話など。その人が会社に入ってから一番仕事で頑張ったこと、お客様に喜ばれたこと、その人の仕事観や人生観を知ることを最初にじっくりやります。
たとえば、美術が好きだった人がどんな想いで絵を描いていたのかというのが、今のその人が作った商品にどう活きているのか、そんなお話をするとお互いに協力のしどころがわかったりします。
そのうえで、その人が将来『こういう仕事をしたいんだ』『このあたりに力を入れていけば、目指すところに行けるんじゃないか』と、過去、現在、未来、時間と空間をどんどん広げていって、多面的にお互いを理解するように進めます」
――それは入社して5年目、10年目の社員にも同じように、聞くのですか。
岡村「はい。20年目でも、30年目でも同じ話をします。未来を作るのも人だし、そこにいるチームの人たちなので。
会社の会議は、多くがダウンロード型なんですね。あらかじめ決まった結論の伝達であったり、対策の確認であったりして、会議を始める前と終わった後でより意義のある結論がでることのほうが少ないのではないでしょうか。オフサイトミーティングの真髄は、意味が生成されていくこと。話し合いから、新たな意味が立ち上がってくることにあります。当初の結論より、よりよい結論が出る。あるいは結論は変わらないものの、推進力が上がる。そういうことに寄与するのが、醍醐味だと思います」