貿易を支える為替取引
FXの例も見てみましょう。
為替取引の実需といえば、主に貿易取引があります。しかし、為替取引における貿易の関連は5%程度だといわれており、そのほとんどは投機的取引です。
なかでも、日本は世界一のFX大国です。GMOクリック証券は7年連続FX取引高で世界一を誇っており、月間売買代金が800兆円を超える時もあるほどです。
そんな為替市場において、FX取引がなくなったらどうなるでしょう――。日本の輸出・輸入額を合わせると、ざっと15兆円程度。GMOクリック証券のFX取引と比べると、いかに小さいかがわかります。
そんな為替市場で市場が急変するような金融政策の変更や地政学的リスクが発生すると、売り買いが一方的に偏る可能性があります。そうなった時に為替市場の値動きは、現状とは比べものにならないでしょう。
実際に、FX取引が一般的になる以前の80~90年代の為替市場は、米ドル円が1日に2円程度動く非常に値動きの激しい状況だったようです。市場が安定していないと、貿易会社は不安ですよね。
やはり投機的なFX取引も、為替市場を支えているといってよいでしょう。
◆ マイナーの受け皿となる仮想通貨取引
さて、仮想通貨ですが、まずはその実需について知ってきましょう。
・買い:ICOや※IEOへの参加、マイニングマシンの購入
・売り:マイニングにより仮想通貨を獲得したマイナーや、ICOで資金調達を行ったプロジェクト側の売り
※取引所がプロジェクトの審査や個人投資家への募集を行う資金調達方法
仮想通貨の実需は上に挙げたとおりですが、海外への送金のための購入や、中国人などの資産逃避のための売買(J-CAST会社ウォッチ「ビットコイン価格が急上昇! 『復活』の原因を探ると......」2019年6月13日付) もあります。
株式市場や為替市場にも、決算や雇用統計などのイベントがあると売買が集中しますが、仮想通貨でも人気のICO(新規仮想通貨公開。「トークンセール」とも呼ばれる)や世界的なイベント、マイニングマシンの販売があれば、売買が集中しやすくなります。2019年4月~6月の上昇相場は、まさにこれらの好材料が集中したことにあります。