子育て応援の取り組みを強化している、住宅メーカー大手の積水ハウスが「育休を考える日」と名付けて制定した記念日の2019年9月19日、東京都内で「イクメンフォーラム」を開催。昨年スタートした男性社員向けの育児休業制度で取得率が100%だったと報告した。
男性の育児休業は、1992年に施行された「育児休業等に関する法律」で取得できるようになった。法律は27年前に施行されているが、厚生労働省の「雇用均等基本調査」によれば、2018年の男性の育児休業取得率は6.16%だった。お世辞にも浸透しているとは言い難い。そうした状況のなか、積水ハウスの取り組みに対して、専門家らから高い評価が寄せられている。
給与に業務...... 社内外から支援する「イクメン休業」制度
ここ数年の「働き方改革」で、イクメンブームが到来。育休を希望する男性の割合は、どんな職場でも増えている。しかし、会社での評価を気にするなどの理由から、取得を断念する人も少なくなく、取得率がなかなか上がらなかったり、女性のように長期間休んで育児に専念したりするケースはまだ少ないというのが実情だ。
その一方で女性の社会進出が進み、夫婦共稼ぎは当たり前になった。そうした中で、少子化対策の一環でもある夫婦間での育児や家事の分担も、男性の育児休暇が取得しやすくならなければ、なかなか進まないことになる。
積水ハウスが国内の育休実態について調査。9月19日に発表した「イクメン白書2019」によると、男性社員の場合、4人に3人の割合で自分の会社の育休制度について「知らない」と回答。制度そのものがない会社が4割ほどあることもわかった。
そうした男性社員の育休を取り巻く状況にあって、積水ハウスは2018年9月に「男性の育休完全取得」を宣言。男性社員の育児休業取得を促進する「イクメン休業」制度の運用を開始した。男性社員の育児参加を促すため、3歳未満の子どもを持つ全社員を対象に、子どもが3歳になるまでに育休を1か月以上取得する。「取れるようにした」のではなく「取るようにした」制度という。
仲井嘉浩社長が「男性の完全取得」を掲げ、育休に取り組む決意を固めたのは、昨年5月に北欧のスウェーデンを訪問したのがきっかけだった。ストックホルムで、「公園でベビーカーを押す人のほとんどが男性」という光景を見て、スウェーデンの育休が3か月超で、男性が積極的に育休を取得して育児に協力していることを知った。そこで自社でも、育休の充実を図ることが喫緊の課題だと受けとめたという。
9月19日の「イクメンフォーラム」では、積水ハウスの「キッズ・ファースト企業」としての取り組みを、陣頭指揮する仲井社長が解説。「育休1か月以上の完全取得」を目指して立ち上げた「イクメン休業」制度について、その実現のために入念な検討を重ねて、万全な支援体制で臨んだと明かした。