成人の約8割が歯周病にむしばまれている
歯周病は「もの言わぬ病」といわれています。初期の段階では、自分でもわかりにくく、自覚症状もほとんどありません。そして、自覚症状が出てきたときには、病気はかなり進行していて、治療が非常に難しくなっていることが多いからです。
厚生労働省患者調査(2017年)によると、一日に全国の歯科に通院する患者数は、う触(虫歯)が27万7100人、歯肉炎・歯周病が46万9100人で、過去最高を記録しています。
森永さんは、
「そんなときに頼りになるのが、私が取り組んでいる『オーソモレキュラー栄養医学』です。1960年代に米国のポーリング博士が最初に提唱したもので、現在、欧米はもちろん、日本でも取り組むドクターが増えてきています。ポーリング博士は個人でノーベル賞を2度受賞した、20世紀で最も重要な科学者の一人ともいわれています」
とし、
「たとえ、同じように見える不調であっても、人によって必要な栄養素は異なります。そして、同じ人でも、栄養がきちんと供給され充足してくれば、そのときに必要な栄養素の種類、量は違ってきます。症状や各種検査のデータをもとに、テーラーメイドで導き出してくるのが、オーソモレキュラーになります」
と説きます。
超高齢化社会が現実のものになっている日本。誰もが人生を「自分らしく生きたい」と願っています。
ところが、食が豊かになりすぎたことで罹患リスクは高まり、「悩める晩年」が社会全体を巻き込んでいます。「歯と口の健康」がいかに大切か、改めて認識する必要がありそうです。(尾藤克之)
※森永さんのクリニックは千葉県南房総(安房郡鋸南町)に位置し、今回の台風ではもっとも被害の大きかった地域のひとつと言われています。現在は「千葉県歯災害支援」として、訪問口腔ケア、救援物資の配布をおこない復旧活動につとめられています。森永さんの活動に敬意を表すとともに、1日も早く全面復旧がされることを祈念いたします。