その98 スポーツ選手の「リベンジ」という表現 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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リオデジャネイロの負けを東京で「復讐」する?

   さらに、米国ではプロボクシングなどの格闘技を盛り上げるために、かなり前から「リベンジマッチ」と呼んだりし、日本にもそれが伝わってきている。

   だから、競泳やプロ野球の選手が「リベンジ」と言ってもおかしくはない、という意見もあるだろう。でも、殴ったり蹴ったりの格闘技と、競泳やプロ野球とを一緒にするのは、適当ではないのではないか。

   それに、2020年の東京五輪・パラリンピックには大勢の外国人がやってくる。そういう人たちに向かって英語で、たとえば「リオデジャネイロで負けたから、東京でリベンジする」などと言ったとしよう。

   すると、「正々堂々と戦ったはずの試合に負けたからといって、復讐しようとするなんて、なんとも恐ろしい連中だ」などと誤解されかねない。

   「再挑戦」というちゃんとした日本語があるのだから、恨みを持って復讐したいのでなければ、「リベンジ」ではなくて、再挑戦、あるいは「次は勝つ」と言うほうがいいのではないだろうか。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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