韓国経済の屋台骨である大財閥サムスンの業績悪化が止まらない。サムスンに税収を依存してきた地方自治体が、軒並み税収半減どころか6割減が見込まれて悲鳴を上げている。
サムスンショックに大揺れの政財界の動きを、韓国紙から読み解くと――。
「サムスンベルト」自治体は軒並み深刻な税収減
サムスングループの経済波及効果は、韓国のGDP(国内総生産)の約18%、輸入の約21%を占めるといわれる。それだけに、その不振は税収を頼ってきた地方自治体にとって大問題だ。そんな悲鳴を、朝鮮日報(2019年9月17日付)「サムスン業績不振で水原・華城に『税収ショック』」がこう伝えている。
「世界的な半導体不況と日本の経済報復でサムスン電子の業績が不振となり、水原、竜仁、華城、平沢の各市など京畿道南部の地方自治体が集団ショックに陥った。サムスン電子本社と事業所が南北に連なり、『サムスンベルト』を形成、毎年地方税収のうち数千億ウォンをサムスン電子に依存している。ところが、来年(2020年)は税収が半分以上減少すると予想される。このため、緊縮予算の編成が避けられず、さまざまな事業の廃止・中断、優先順位の選別など財政構造の見直しに苦慮している。予算縮小で市民が不便を体感することが懸念されている」
4市全体でサムスン電子からの法人地方所得税の税収が、今年(2019年)の8354億ウォン(約762億円)から来年は3084億ウォン(約278億円)へと63%減少する見通しだ。サムスン電子はこれまで4市の法人地方所得税収の約50~80%を占め、財政を支えてきた。下請け会社を含めれば、税収規模の割合はさらに高まる。しかも、これらの数字は日本の輸出規制が始まる前のサムスンの業績だ。輸出規制が始まった後の業績の数字をサムスンは一切公表していないが、後述するようにマイナス材料ばかりだ。
朝鮮日報(9月17日付)は、こう結んでいる。
「このため、サムスン電子が今年7月末に上半期の業績を発表した直後から4市は対応に追われている。来年も税収確保や事業推進に大打撃が避けられないからだ」
ここで、サムスンが2019年7月31日に発表した2019年4~6月期連結決算をおさらいしておこう。全社売上高は4%減の56兆ウォン(約5兆円)だった。営業利益が6兆6000億ウォン(約6000億円)と、前年同期に比べ56%も減った。主力の半導体部門の営業利益が71%も減少した。サムスンが得意の半導体分野で7割以上も大幅に落ち込むは初めてだ。自社製スマートフォンを中心とするIT&モバイル部門も42%の減益とふるわなかった。
サムスンの2本柱は、スマホなどにデータを記憶する半導体メモリーと、「ギャラクシー」ブランドの自社製スマホだが、いずれも半導体の世界的な不況とスマホ市場の飽和状態の大波をかぶった形だ。