企業の制度はすべての社員が安全・快適に働くため
また、それ以前に本来遂行すべき業務(義務)を果たさず、権利ばかりを主張する、えっ?と思う事例も目立ちます。
たとえば、自分だけ楽をしたい、得をしたい、嫌いな上司を陥れたいなどの身勝手な理由からハラスメントされたとSNSに書き込みをするケースです。感情論で世間を煽り、企業イメージを損ねるこのような事例は、企業のレピュテーションリスク(評判や風評によるリスク)が高まり非常に深刻です。
適正な運営をしている企業側からすれば腹立たしいことです。ハラスメント対策だけでなく、企業にはさまざまな制度があります。それらはすべて社員が安心、安全、快適に働くために設けられているものです。
社員は制度に守られ、活用する権利があるのですから、当然ながら企業が求める義務を果たしてほしいと願うのは当然ではないでしょうか。
そんななか、フリーランスで働く人を対象にしたハラスメントに関する調査結果報告がありました。ご存知のとおり、2019年5月末に「ハラスメント防止関連法」が成立しましたが、対象は雇用労働者のみで、フリーランスで働く人は含まれていません。フリーランスと聞くと特殊な職業をイメージするかもしれませんが、雇用労働者が副業として働くことも含まれます。
この調査によれば、ハラスメント内容として「精神的な攻撃等」59%と最も多く、「過大な要求等」42%、「経済的な嫌がらせ」39%など、成果物に対して難癖をつけて約束していた報酬を与えない事例もあるようです。
こうした事例に対しては、雇用労働者でないという理由から泣き寝入りとなり、相談する窓口すらないのが現状です。
今後、副業を容認する企業が増える中で、雇用労働者の感覚のまま副業を始めるとこのようなトラブルに巻き込まれる可能性があるわけです。
雇用労働者という制度に守られているメリットを正しく認識し、責任ある言動を心がけていくことが、今後さらに多様化する働き方の変化に対応していけるのではないかと考えます。(篠原あかね)
※「マナーで見直すハラスメント」は、今回が最終回です。これまでご愛読くださいました皆さま、誠にありがとうございました。