労組5000人が一斉丸刈りをすれば経営者も丸刈りで
「儒教国家」の韓国では、髪は親から授かった大事にする体の一部であり、丸刈りにする重さは、日本の比ではない。そのため、しばしば強い抗議の意志を示す行為に使われる。少し古いが、東亜日報(2003年7月17日付)「オピニオン:剃髪」が、「丸刈り文化」の事情を、こう伝えている。
「韓国では集団抗議の意思表示として剃髪をするケースがよくある。とりわけ、今年(2003年)に入って多かった。6月、朝興(チョフン)銀行のストの際にも5000人近い労組員が一斉に剃髪をして、『剃髪新記録』を打ち立てた。5月はある私立大学の教授21人が財団の横暴に抗議して、毎日1人ずつリレーで剃髪をした。数人の映画人が米国のイラク侵攻に抗議、明洞(ミョンドン)聖堂に集まって剃髪式を行い、反戦の声を高めた」
「現職の道知事が剃髪するケースもあった。全羅北道(チョンラブクド)の姜賢旭(カン・ヒョンウク)道知事が道民と一緒に集団上京し、環境団体のセマングム干拓事業中断要求に政府が動揺してはいけないとして、ソウルのど真ん中で、道民とともに髪の毛を切った。今回は会社の経営陣まで剃髪する珍風景が演出された。LG化学の工場長が労組のストに剃髪で対抗したのだ」
こうした「剃髪の氾濫」に、東亜日報の論説記者はこう心配している。
「剃髪が横行する時代は不安定な時代だ。剃髪は妥協ではなく、戦闘を連想させるだけに、世の中をがんじがらめにし、すさんだものにする。それぞれ剃髪しなければならない名分や切羽詰った事情があるだろうが、これを見守る人々の心は穏やかではない。『剃髪の時代』は、いつになったら終わるのだろうか」
(福田和郎)