米中貿易摩擦の緩和期待が意識されたことで、日経平均株価は4か月ぶりに一時2万2000円台を回復した。欧州中央銀行(ECB)が量的緩和を再開することも好感した。その半面、サウジアラビアの石油施設が爆破されたことで原油相場が急上昇しており、中東の地政学リスクが高まりそう。
注目は、日米の金融政策。米連邦公開市場委員会(FOMC)と日本銀行の金融政策決定会合が開かれる。米国の利下げを市場はすでに織り込み済みというが、どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 4か月ぶりの2万2000円台だが......
日経平均株価予想レンジ:2万1700円~2万2200円
2019年9月13日(金)終値 2万1988円29銭
今週の日経平均株価は、年初来高値更新を意識しながらも、上値の重い展開となりそうだ。
前週の日経平均株価は、米国のムニューシン財務長官が米中通商協議の進展に言及したこと、トランプ米大統領が中国からの輸入品の関税引き上げを10月1日から15日に延期としたこと、中国が対米国関税の一部製品を除外するという報道など、米中貿易摩擦の緩和期待や、ECB (欧州中央銀行)理事会が量的緩和を再開することを好感して上昇した。
日経平均株価は9連騰となり、一時2万2000円台を回復した。2万2000円台回復は約4か月ぶり。
今週の日経平均株価は、4月24日の年初来高値2万2362円の更新を意識した動きになると思われる。ただ、日経平均株価の上昇幅は9連騰で1368円となり、一時2万2000円台を回復したことで目先の達成感も出ており、上値の重い展開となりそうだ。
注目は、日米の金融政策。17日から18日にはFOMC(米国連邦公開市場委員会)が行われ、FRB(連邦準備制度理事会)が追加利下げを実施するとの予想が市場のコンセンサスとなっている。FOMCの通過による材料出尽くし感や、利下げが見送られた場合のネガティブサプライズには注意が必要だ。
また、18日からの日銀金融政策決定会合にも注意が必要。市場では何らかの金融緩和策が出てくると予想しており、現状維持だった場合には、日経平均株価の売り材料となりそうだ。半面、市場の予想以上の金融緩和策が発表された場合には、ポジティブサプライズとなり、日経平均株価の買い材料となりそうだ。
東京外国為替市場 米国の利下げは織り込み済み
ドル・円予想レンジ:1ドル=107円50銭~109円30銭
2019年9月13日(金)終値 1ドル=108円07銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、底固い展開か。
前週のドル円相場は、ドルが堅調に推移した。米中貿易摩擦の緩和期待を背景に、リスク選好のドル買いが進み、ドルは1ドル=108円台に上昇した。1ドル=108円台は8月1日以来。
今週の外国為替市場でドル円相場は、引き続き米中貿易摩擦の緩和期待によるリスク選好がドル買い材料として意識されるが、17日から18日にはFOMC(米国連邦公開市場委員会)が行われ、FRB(連邦準備制度理事会)が追加利下げを実施すると予想されており、ドルの上値を抑える要因に働きそうだ。
ただ、米国の利下げは市場に織り込まれており、大きなドル売り材料とはならないとみられ、ドルは底堅い展開が予想される。また、18日からの日銀金融政策決定会合にも要注意。
経済指標は、国内では18日に日銀金融政策決定会合(19日まで)、8月の貿易統計、19日に黒田東彦日銀総裁会見、基準地価の公表(国土交通省)、20日には8月の消費者物価などが予定されている。
海外では17日にFOMC(18日まで)、8月の米国鉱工業生産、18日には8月の米国住宅着工件数などが予定されている。
(鷲尾香一)