「経済力不足」は思い込み
結婚についての調査でしばしば、「結婚しない」、あるいは「できない」理由として「経済力不足」が多くの票を集めることがある。しかし、こうした調査の回答を未婚男女、既婚男女別に分析してみると、結婚生活で最低限必要と考える世帯収入について、未婚者の方が多く見積もる傾向がみられた。
社会の情報化が高度に進み、未婚者は単に思い込みを強め結婚に近づけない可能性があるという。また、男性の場合は「収入面で一家を支えなければならない」という、これもまた、思い込みによるプレッシャーを感じている可能性が示された。
思い込みで婚期を逃したり、不本意ながら未婚を続けたりしている人が実際は多いのではないか―― 。本書では、国立社会保障・人口問題研究所の「第15回出生動向基本調査」(2015年)を引用して「結婚願望度」をみる。
それによると「18~34歳の独身男女」の9割が結婚意志を持っており、この割合は1980年代の調査から変わっていない。「データからは日本の若い独身男女の9割が結婚したいと思っているにもかかわらず、その男性の7割、女性の6割に交際相手がいないということになる。
これは、個人のライフデザインの問題として片づけられる問題ではない。1980年代まではなかった日本の新たな社会問題」と著者。「いつかは結婚したい」と若い男女の大多数が、時代に関係なく希望している。にもかかわらず、社会の複雑化などが進み、そのことを果たせぬまま50歳を迎える人が急増しているのだ。