人手不足やそれを補う自動化、労働力の外国人依存の拡大など、近年の社会の関心の的は、なにかと少子高齢化由来の話題が多い。ところが、少子高齢化と密接な関連がありながらスルーされている問題もじつは数々あって、人口の「未婚化」の進行はその一つという。
データを詳しくみると、現実には既婚夫婦がもうける最終的な子どもの数は長期的に変化がなく、少子化対策で取り組むべきは「子育て支援策」よりも、急増している「未婚化」対策なのだ。
「データで読み解く『生涯独身』社会」(天野馨南子著)宝島社
50歳男性4人に1人、女性7人に1人が未婚
本書「データで読み解く『生涯独身』社会」(宝島社新書)では、さまざまなデータを使って、ものすごいスピードで進んでいる「未婚化」の実状が示されいる。放置しておけば、日本が存続の危機にさらされる可能性があるという。
直近の2015年の国勢調査を基にした推計で、男性の生涯未婚率は24.2%、女性は14.9%。これは「50歳男性の約4人に1人は一度も結婚経験がない」という状況。女性の場合は約7人に1人だ。
1985年の国勢調査までは男女生涯未婚率は非常に低く、同年でともに5.0%以下。90年の時点で男性の生涯未婚率は5.0%を超え、女性を上回る。それでもこの時点では、男性は18人に1人、女性23人に1人の割合。これ以降、国勢調査ごとに未婚化が進み、15年間に男性は約5倍、女性は約3倍になった。
こうした未婚化の拡大、独身者の増加は「おひとりさま」など社会の変化の一つとしておもしろおかしくとらえられたり、消費プロモーションの新しいターゲット層に擬せられたりしているが、別のデータを合わせて複合的に分析をしていくと、そう軽く扱ってばかりはいられないことがわかってくる。