【日韓経済戦争】断末魔の韓国経済、日本から「第二の独立運動」の掛け声も統計は最悪続々

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   韓国経済が断末魔の様相を呈し始めている。経済悪化の流れが止まらず、各種経済統計の数字が「史上最悪」を示しているのだ。

   そんななか、文在寅(ムン・ジェイン)政権は「克日」(日本に打ち克つ)をスローガンに、「日本の(経済)侵略に対する第二の独立運動」を国民に呼びかけている。

   もはや日本商品不買運動のレベルを超えてしまった。いったい、どういうことか。韓国紙から読み解くと――。

  • 「経済独立運動」を呼びかける文在寅大統領
    「経済独立運動」を呼びかける文在寅大統領
  • 「経済独立運動」を呼びかける文在寅大統領

デフレ懸念も叫ばれる韓国経済

   2019年9月に入って、韓国紙の1面は経済悪化の見出しが踊るようになった。中央日報(2019年9月3日付)「消費者物価、史上初めて『マイナス』......頭をもたげるデフレーション恐怖」がこう伝えている。

「9月3日、韓国統計庁が発表した8月消費者物価動向によると、韓国の消費者物価指数の騰落率が史上初めて0%を記録した。指数上で前年同月より0.04%落ちてマイナスを見せた。消費者物価がマイナスを記録したのは、1965年に統計を作成して以来初めてで、(アジア通貨危機後の)1999年2月(0.2%)以降最も低い水準だ。今年に入って7か月間消費者物価上昇率が0%台となり、このような現象も重なってデフレーション(経済全般で商品・サービス価格の下落が続く現象)への懸念の声が大きくなっている」

   同じく中央日報(9月12日付)「景気先行指数、26か月連続下落......過去最長」も史上最悪の経済状態をこう伝える。

「半年後の韓国景気も今より良くないという見方が多い。これを予測する景気指標が過去最長期間の下落となった。経済協力開発機構(OECD)によると、今年7月の韓国の景気先行指数(CLI)は98.79と、前月比0.08ポイント下落した。この指数は2017年5月に101.70となった後、26か月連続で下落している。1990年1月に関連統計を出し始めてから最も長い。景気先行指数は6~9か月後の景気の流れを予測する指標で、100以上なら景気上昇、100以下なら景気下降を表す」

   文在寅氏が大統領に就任したのは、ちょうど景気先行指数が最後に「100」以上を示した2017年5月だから、文在寅政権が始まってからどんどん経済が悪化していったことになる。こうした記事はきりがないので見出しだけ列挙しよう。

聯合ニュース(9月1日付)「韓国輸出額が9か月減 8月は13.6%減少、半導体など振るわず」
朝鮮日報(9月13日付)「失業給付が過去最高......韓国政府、結局雇用保険料を23%引き上げ」
朝鮮日報(9月11日付)「韓国企業19社、格付け相次ぎ下方修正の可能性」
朝鮮日報(9月11日付)「韓国の政府債務700兆ウォンに迫る」
朝鮮日報(9月13日付)「米中貿易紛争の直撃受けた韓国造船企業 発注・船舶価格が不振」

左派・文政権になって広がった「貧富の格差」?

   こうしたなか、朝鮮日報(9月13日付)「政府補助金を差し引くと......昨年韓国の貧富の差は6倍ではなく11倍」がショッキングな実態は紹介している。保守系新聞だから割り引いて読む必要があるが、「平等の推進」を掲げる左派の文在寅政権になって「貧富の拡大」が一気に進んだというのだ。

「所得上位20%の所得を下位20%の所得で割った『5分位倍率』が、今年第2四半期に過去最高(同四半期基準)を記録する中、韓国政府が支払うさまざまな支援金、基礎年金を差し引いた『市場所得』だけで5分位倍率を算出すると、昨年は数値が急激に上昇したことが分かった。働いて稼ぐ勤労所得や事業所得が減少した低所得層が、政府の支援金に大きく依存していることになり、税金を投入した所得不均衡の解消には限界があるというのが専門家の見方だ」

   文政権は、低所得層の所得を上げるために最低賃金を急激に引き上げた。そのために低所得層を雇う自営業や中小企業が打撃を受けた。そのあおりで、雇用が減少したため低所得層まで直撃を受けた。その結果、貧困層はますます貧しく、富裕層はますます富むという現象が深刻になったというのだ。記事では、具体的な数字をあげている。

「一人暮らしの世帯まで含めた昨年の『均等化市場所得基準』の5分位倍率は11.13倍だった。均等化市場所得は、一世帯が稼ぐ勤労・財産・事業所得などを、世帯人数を考慮して算出したもので、政府や公共機関が支給するさまざまな支援金、年金などは含まれない。一方、政府が公式に活用する『均等化可処分所得』には支援金、年金なども含まれるが、その基準では昨年の5分位倍率は6.12倍だった」

   つまり、公的支援を受けない「素っ裸」状態での貧富の格差は11.13倍だが、公的支援を受けたあとの貧富の格差は6.12倍になったというわけだ。問題は、「素っ裸」状態の貧富の格差が、昨年1年間で大きく開いたことにある。文政権は、貧困層への公的支援を増やしているので、「素っ裸」状態の所得は見えづらいが、ここ10数年間の所得を計算し直すと、驚くべき結果が出たという。

「昨年の均等化市場所得基準での5分位倍率は、前年(8.78倍)を2.35ポイントも上回った。過去10年間(2007~17年)の5分位倍率が6.71倍から8.78倍へと2.07ポイント上昇にとどまったのに比べると、昨年の悪化ぶりがどれほど深刻かわかる。10年かけて広がった格差より、1年間で広がった格差の方が大きかったことになる」

なぜか日本製品の放射能検査が骨抜きに

   このように経済が悪化するなか、文在寅政権は日本に対する「経済独立運動」政策で乗り切ろうと躍起だ。

   聯合ニュース(9月10日付)「素材・部品・装備の技術開発に補正予算 日本から自立へ」がこう伝える。

「韓国政府は日本による輸出規制を機に素材・部品・装備(装置や設備)産業の自立を目指し、2179億ウォン(約200億円)の補正予算を投じる。産業通商資源部が9月10日の閣議で、素材・部品・装備技術開発の推進計画を報告した。このうち供給安定化が急がれる25の主要戦略品目は8月末に技術開発に入った。現場で需要のある国産化が可能な品目については、技術を持つ中小企業から課題を受け付け、11月初めに技術開発に着手する。基礎・基幹素材6品目も9月中に技術開発を始める計画だ」

   予算面の手当てだけでなく、政権トップが激励行脚を始めた。日本に対抗する100以上の産業材料を「核心品目」に指定し、国産化を目指す工場を、文大統領をはじめ関係閣僚が1つ1つ回っている。

   聯合ニュース(9月10日付)「素材・部品100品目にオーダーメード支援へ 日本の輸出規制に対応」が、なりふり構わない動きを伝えている。

「ホン・ナムギ副首相は、日本から輸入される石炭灰の管理強化に乗り出したため、国内の業界から需給への影響を懸念する声が出ていることについて、放射性物質の検査期間を現行の4週から2週に短縮し、通関前の工場内での保管を認める措置をとると語った。これは、韓国政府が8月8日、日本から入ってくる石炭灰の放射性物質検査を強化すると発表。同月30日から全量検査を実施しており、セメント業界を中心に生産への影響を懸念する声が上がっているためだ」

   日本の輸出規制の報復として、日本産石炭灰の放射性物質検査を従来はサンプルだけだったのを、「全量たっぷり時間をかけて調べる」と宣言していた。それが、韓国内の業者がネを上げると、検査時間を半分に減らした上、検査前に業者の工場に保管することまで認めたのだ。これは事実上、検査前の石炭灰を「使ってもいいよ」と暗黙に認めたに等しい。国内業者が悲鳴を上げているのに、輸出規制の手を緩めない日本政府の対応とは対照的だ。

日本の報復第3弾を見越してデュポンを買収したSK

   SKハイニックスやサムスン電子など半導体大手企業の「日本からの独立運動」の動きも加速している。

   朝鮮日報(9月11日付)「『日本の独走防ぐ』SKシルトロン、デュポンの半導体ウエハー事業買収」がこう伝える。ちなみに、半導体ウエハーは直径300ミリの円形の素材で、その上に回路を描いて裁断することで、最終的に爪の大きさほどの半導体を生産する。

「韓国唯一の半導体ウエハーメーカー、SKシルトロンが米化学大手デュポンのシリコンウエハー事業部門を買収した。買収額は4億5000万ドル(約484億円)。日本企業が独占する世界の半導体ウエハー市場にくさびを打ち込む狙いだ。今回買収したデュポンの事業部門は次世代のウエハー技術を確保している」
「世界の半導体ウエハー市場は、日本の信越化学工業、SUMCOが55%前後のシェアを占め、それを10%台のシェアでSKシルトロン、シルトロニック(ドイツ)、環球晶円(台湾)の3社が追う構図だ。日本が輸出規制を強化した場合、ウエハーの独占的地位を悪用するという懸念が浮上しているのはそのためだ」

   つまり、今後の日本政府の輸出規制第3弾を「半導体ウエハーではないか」と読んで先手を打ったというわけだ。

   一方、サムスンもついに「国産化」に成功した。ハンギョレ(9月3日付)「サムスン電子、『国産』高純度フッ化水素を半導体工程に投入」が伝える。

「サムスン電子が、国産の高純度フッ化水素を半導体工程の一部のラインに投じることに成功した。日本産の材料への依存度を低くするために、政府と業界の努力が続いているなかで一部の成果が現れた。これは7月4日に日本が輸出規制を強化してから約2カ月目のことだ」

   また、聯合ニュース(9月4日付)「韓国産業相 素材国産化に成功した企業訪問」も中堅メーカーの成功を伝えている。

「ソン・ユンモ産業通商資源部長官が9月4日、京畿道安山市に本社を置く大韓光通信を訪問した。大韓光通信は光通信ケーブル、光ファイバー分野で40年以上にわたり競争力を維持してきた企業で、韓国で唯一、合成石英の製造技術を持つ。同社は、半導体基板に回路を描く工程で使われる部品向けの石英基板素材と製造工程の国産化に成功した。合成石英は96%のシェアを持つ日本メーカーが実質的に独占していた素材だ」

   ソン長官は、大韓光通信の従業員たちに「政府は全方面にわたる支援を惜しまない。日本に対する高い依存を解消するため、政府と共に強い意思と努力で競争力を高めていこう」とゲキを飛ばしたのだった。

(福田和郎)

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