2019年10月の消費増税を前に、駆け込み購入や買いだめを考えている人は37%と、3人に1人ほどの割合でいることがわかった。NPO法人の日本ファイナンシャル・プランナーズ(FP)協会が「消費増税と家計の見直しに関する意識調査」を、9月11日に発表した。
増税そのもの、軽減税率に対する認知度は高く、軽減税率についてはキャッシュレス決済のポイント還元ともども年齢が高いほど知っている人の割合が高かった。
キャッシュレスでポイント還元、20代の認知度63.8%
調査によると、10月から消費税が上がることを知っていたかどうかの問いに、96.8%が「知っていた」と回答。世代別では60代が99.2%と最も高かった。今回の増税では税率が8%から10%に引き上げられるが、一部は8%に据え置かれる軽減税率が適用される。このことについても認知率は87.5%と高かった。
増税による消費の冷え込みを抑えるための対策として、特定店舗でのキャッシュレス決済でポイント還元を受けられるが、こちらの認知率は77.6%で、軽減税率ほどではないことが示された。
軽減税率とキャッシュレス対応とも、年代別の認知率では60代(97.5%、92.5%)が最も高く、20代(76.7%、63.8%)が最も低かった。
軽減税率をめぐっては、同じ食品でも、店内での飲食とテイクアウトで適用が異なるなど、わかりにくく、実施後の混乱が懸念されている。調査では、軽減税率が導入されることを「知っている」と回答した1050人に、品目を列挙して、軽減税率の対象かそうでないかを質問。このうち、対象でないのに誤って対象と認識されていた主なものと、その割合は「日用品」で18.3%、「飲食店での食事」が14.5%、「医薬品」が11.8%だった。
増税後「家計は苦しくなる」77.7%
増税の際にはこれまで、多くの人が駆け込み購入や買いだめに動いた。調査によると、今回の増税を前に駆け込み購入、買いだめを考えているかを聞くと、「そう思う」と答えた人は36.8%だったのに対して、「そう思わない」は63.2%と、全体としては落ち着いている=下図参照。
2014年4月に5%から8%への消費増税が実施されたが、今回の調査の全回答者に5年前の増税の際に、買いだめなどを行ったかを聞いたところ、27.8%が「した」と回答。72.2%は「していない」と答えた。駆け込み購入・買いだめ派はじつは少数派で、今回は軽減税率やキャッシュレス決済での還元が広く知られており、これが一層の抑制効果になっている可能性がある。
一方、消費増税後の家計については、30.8%が「非常に苦しくなると思う」と回答。「どちらかといえば苦しくなると思う」(46.8%)と合わせて、77.7%が「苦しくなる」と予想している。60代女性では「苦しくなる」が84.2%にのぼった。「まったく変わらないと思う」は4.7%で、「どちらかといえば変わらないと思う」(17.7%)を合わせた、変わらない派は22.3%だった。=下図参照
増税される前や増税後に家計を見直すと思うかという問いには、64.5%が「増税前も増税後も見直すと思う」と回答。「増税前に見直す」(5.5%)「増税後に見直す」(8.0%)を合わせて、見直しを考えている割合は78.0%だった。増税後に家計が苦しくなると予想している932人についてみると、見直しを考えている人は88.4%だった。
増税前後に家計の見直しを考えていると答えた人たち(936人)が、その対象として想定しているのは、1位「外食費」(49.6%)、2位「電気代」(44.7%)、3位「食品・飲料(酒類除く)費」(44.3%)、4位「レジャー・娯楽費」(44.2%)、5位「衣類・ファッション費」(34.7%)だった。
男女別にみると、「食品・飲料(酒類除く)費」が男性37.5%、女性は50.6%。「衣類・ファッション費」は男性が27.0%、女性は41.8%と、女性のほうが10ポイント以上高かった。
なお調査は2019年7月30日、31日の両日、全国の20~60代の男女を対象にインターネットで実施した。有効回答は1200人。