「妊娠したことで責任を問われる風潮はおかしい」
――今回の投稿に対する反応を読み、率直にどんな感想を持ちましたか?
川上敬太郎さん「法制度上は、育休期間中に第2子を授かった場合、条件さえ合えば、間を空けずに続けて育休取得することが可能です。投稿者さんからの質問に対しては、職場に復帰しないまま次に妊娠したお子さんの産休・育休に入ることは可能、という回答になるかと思います」
「2017年10月から育児休業が2年まで延長してとれることになりました。そのことに関連して、働く主婦層に『育休をとるとしたら2年まで延長したいと思うか』と聞くと、育休を2年まで延長したいと考える人が55.6%いました。一方で、『延長したいと思わない』と回答した人は13.5%にとどまっています。少なくとも2年という期間では、育休取得に肯定的な考えの人が多いようです」
――しかし、制度上は認められても、連続して育休をとられることは「職場の大迷惑」と批判する人が結構多いですね。私の知り合いの企業人事担当者も、この回答の中に出てくる「幽霊社員」のようなケースがあり、次々と産休・育休の権利を行使したあげく、辞められてしまい、「せっかく育成しても空しい思いがする」とこぼしています。
川上さん「長期間仕事に穴を開ける、という意味で、迷惑と捉える人が出てしまうのでしょう。仮に育休取得中の社員の仕事を他の社員に上乗せし、それが評価に反映されなかったりすれば、迷惑だと感じてしまう気持ちはわかります。また、せっかく育成した人材が、長期間の育休取得の後に退職してしまったとしたら、空しい気持ちにもなるのも無理はないでしょう」
「ただ、それらの感情は仕事に対するものであるはずです。問題なのは、それらの状況になった責任が育休取得者にあると考える人が、一定数存在するということにあります。しかし、妊娠は人々が生活する中で生じる自然な営みの一部です。本来は、妊娠したことで何らかの責任を問われるようなことではないはずだと考えます」