いまや企業の盛衰を決める!? 「サステナビリティ」とどう向き合うか

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国連の「SDGs」で浸透

   やはりGAFAの一つ、アップルもサステナビリティを明確に打ち出している。世界各地のアップルの関連施設では供給される電力をすべてクリーンエネルギー由来に。また、製造パートナー企業に対しては、アップル向けの生産についてはクリーンエネルギー由来により作業するよう呼びかけているという。

   日本の企業にもこうした事例がないわけではなく、本書では、リコーが1988年に「環境経営」を打ち出したことを紹介。「環境保全と利益を同時に追求していく」経営方針をとるようにし、サプライヤーにもこれに準じるよう求めた。

   サステナビリティが世界でよりクローズアップされるようになったのは、2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されてから。16年から30年までの「国際目標(SDGs=Sustainable Development Goals)」として「17の目標」が定められ、それらはエネルギー資源のことからジェンダーなど社会的な枠組みにおける目標が盛り込まれている。

   「SDGs」はここ数年、世界中で関心が高まっているフィールドの数々が持続可能性を重視する対象になったことから「サステナビリティ」への注目も上昇。企業を見る目も「サステナビリティ」に関する対応が、評価の重要ポイントになってきた。最近しばしば取り沙汰される、海洋プラスチックの問題なども、企業のなどの間で「サステナビリティ」を重視する動きが強まり、その処理などにおける貢献を企業自らアピールしたり、報道で発掘されたりするなどの動きがあったからだ。

   本書によると「サステナビリティ」は、国連の「SDGs」の影響で、個人レベルでも強く意識されるようになっている。著者はコンサルティングや会社経営に携わった経験から「サステナビリティ」に配慮を欠いた企業は、人材採用や管理などで頭を悩ませる場面もあるのではないかとみる。「素朴な入社拒否の動機、または退職の理由になり得るのではないだろうか。実際、そうした人材の流動が増えているように実感している」

   「サステナビリティの方向を理解しないまま利潤の追求に走るだけの企業は、人材不足となって、サプライチェーンから外されることになるだろう」とも。その心配はともかく、本書を読んで、サステナビリティやSDGsについて理解を深めておくことはムダではないだろう。

「『未来市場』のつくり方 サステナビリティで変わる企業の常識」
中原雄司著
東洋経済新報社
税別1500円

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