検察が強大な権力を握った「神業」とは
検察の力の源泉を削ぎ、民主化しようというわけだから、検察の抵抗が激しい。ハンギョレ(9月9日付)「記者手帳:政権を乗りこなす検察の『神業』、今回も成功なるか」は、検察が強大な権力を握るに至った歴史をこう伝える。
「かつて李承晩(イ・スンマン)、朴正煕(パク・チョンヒ)の独裁時代、検察は政権内部で力のない機関に過ぎなかった。権力の序列でも低い位置だった。しかし、全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)政府時代から軍部と警察を追い出し、政権の『大奥総取締役』のような存在に浮上した。その後、金泳三(キム・ヨンサム)、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政府を経て、ついに『政権よりも強い検察』としての地位を築いた。『政権には限りがあるが、検察は無限だ』という言葉は単なるスローガンではない」
では、単なる任命職の検事で構成される検察が、国民から選ばれる政権よりも強力な最高権力に浮上できた秘訣は何だろうか。この20年間、政権を乗りこなす『神業』を発揮してきたからだ。その『神業』がこれだ――。
「政権の前半には過去の政権の不正を熱心に捜査し、現政権の信任を得る。政府と与党が検察の権限を直ちに減らすことはできなくなる。政権後半期には現政権の不正にメスを入れる。今度は野党が検察改革に反対するしかなくなる。政権が変わる度にこのようなサイクルを繰り返し、改革を逃れる手法だ」
そして現在、文政権の後半に入り、政権の中核であり、「検察改革」を進めようとするチョ氏の「疑惑」を熱心に捜査しているのも、過去の流れの「神業」の一環というわけだ。実際、野党各党は「検察改革」に賛成しづらくなった。
確かに韓国では、歴代大統領やその親族が、検察の汚職捜査などで服役したり、自殺に追い込まれたりしている。とくに近年の7代の大統領は、全員検察の手にかかっている格好だ。全斗煥(一審判決・無期懲役)、盧泰愚(懲役22年)、金泳三(次男逮捕)、金大中(息子3人逮捕)、盧武鉉(収賄容疑捜査中に自殺)、李明博(懲役15年)、朴槿恵(懲役24年)といったあんばいだ。