検察内部の批判派を「改革チーム」の参謀に
そのチョ・ゴク法務部長官だが、早くも改革チームを立ち上げた。ハンギョレ(9月11日付)「チョ法務部長官、最初の指示で『検察改革推進団』結成...改革作業始動」がこう伝える。
「チョ法務部長官は9月10日、長官就任後最初の指示として『検察改革推進支援団』の結成を指示。支援団の人事を断行し、検察改革の核となる参謀陣を結成した。支援団長はファン・ヒソク法務部人権局長(民主社会のための弁護士会事務局長)が務め、イ・ジョングン仁川地検2次長も支援団に合流した。イ次長検事は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の自殺直後の2009年6月に、検察内部ネットワーク『イプロス』に検察捜査を批判する書き込みをして注目された」
盧武鉉元大統領が検察の疑獄捜査によって自殺に追い込まれた経緯はのちに説明するが、当時、検察内部で批判の声を上げた現職の検察幹部を改革チームの「参謀」に入れたわけだ。いよいよ検察との「真っ向勝負」が始まる。
ここでざっと文政権の「検察改革」をおさらいしておこう。韓国の検察は歴代の政局を動かし、「検察共和国」といわれるほど強大な権力を持っている。検察が、起訴権と捜査権を独占している。たとえば日本の警察は刑事事件の捜査権があるが、韓国の警察は検察を補佐する役割しかない。逮捕状も検察に頼んで請求してもらう立場だ。
文政権の「検察改革」は2本柱からなる。まず、検察が独占している捜査権の一部を警察にも分ける「検察・警察捜査権調整法案」の成立。もう一つは、しばしば「政治検察」として問題になってきた汚職捜査を行なう専門組織「高位公職者犯罪捜査処」を新設すること。日本でいえば、東京、大阪、名古屋地検にある特捜部を検察組織から独立させるようなものだ。