政府は使い捨てプラスチックを減らすため、スーパーやコンビニなどで配っているプラ製レジ袋の有料化を義務づける考えだ。2020年の東京五輪・パラリンピック前の実施を目指している。
海や川に捨てられたレジ袋を飲み込んだクジラや魚が死んだり、野山や川がレジ袋で埋まったり...... そんな自然環境の破壊が世界各地で起きている。レジ袋の有料化はそれなりに結構なことである。
かなりの人がレジ袋を2枚、3枚と受け取っている
だが、国連環境計画(UNEP)の2018年の報告書によると、すでにフランスやケニアなど40か国以上が、レジ袋の配布自体を禁じている。有料化だけでは、世界に後れをとっているし、果たしてどれだけの客がレジ袋を辞退してくれるだろうか。
大手スーパーの間ではすでに有料化が進んでいて、たとえばイオンはレジ袋のLサイズを1枚3円にしたところ、自分で買い物袋を持参する客が増えた。レジ袋の辞退率は8割を超えているそうだ。
だけど、僕にはこれがすんなりとは信じられない。というのは、僕がよく行く埼玉県の自宅近くのスーパー3店でも、レジ袋を辞退すると2円安くしたり、2ポイント(2円分)をカードにつけてくれたり、実質的にレジ袋を有料化している。
しかし、僕が見たところでは、レジ袋を受け取る人は辞退する人よりもずっと多い。かなりの人が1枚から2枚、3枚と、レジ袋を受け取っている。レジ袋の有料化だけでは、それほどには辞退率が高まらないのではないか。
その27(2017年9月20日付)で、すでに「レジ袋そのものが不要である」と書いたが、やはり世界の海や川、野山を汚すレジ袋をなくすには、配布自体を全面的に禁じるのが最善の策ではないだろうか。
有料のごみ袋を海や川には捨てない
「自分はレジ袋を決して無駄にはしていない。ごみを出すときに有効利用している」などといった意見もあるだろう。だけど、ごみ収集用の袋を指定する自治体も増えていて、「燃えるごみはピンク色の袋に、燃えないごみは緑色の袋に」などと決めたりしている。
スーパーなどの有料レジ袋に比べて、いくらか割高にはなるだろうが、それらをもっと普及させればいいのではないか。そして、わざわざごみ出し用に買ったこれらのごみ袋が、気軽に川や海などに捨てられるとは思えない。
ただ、わが国でレジ袋が全廃されても、地球規模のプラごみの削減といった点から見れば、効果はほんのわずかだろう。
だけど、レジ袋は私たちにもっとも身近な使い捨てプラスチックのひとつである。それを「全廃」することはプラごみ削減に向けて象徴的で大きな意味を持つのではないだろうか。単なる「有料化」では隔靴掻痒(かっかそうよう)の感がする。(岩城元)