気軽に話せる風土づくり
「全体的に暗く、どんよりした」現場に立ち、小巻さんはその落ち込んだ雰囲気の原因は社員やアルバイトスタッフら従業員間のコミュニケーションが不足していることだと理解する。小巻さんの専門の分野は、経営などではなく、東大大学院で学んだキャリアもある心理学。経験や学んだことを生かしたアプローチにより「スタッフ同士が気軽に話せる風土づくり」に努めた。
約200人の社員、約700人いるアルバイトらと時間や方法を工夫して面談を重ね、全員の話を聞いた。その際には「自分だったらどうするか」などと問いかけて考えを聞き出し、現場での積極的振る舞いを奨励するよう心がけた。大学院での教育学の研究で学んだ「やさしい話し方」「あたたかな聴き方」を自ら実践して、スタッフらの間での浸透を図り、社内のコミュニケーションが円滑化。アイデアの提案などが活発化した。
スタッフ間の個々のレベルの次にコミュニケーションの向上を促したのは組織間レベル。「部署間での意思疎通や情報共有不足」はけっこう重症で、たとえば、舞台で行うショーでメーンカラーはオレンジなのに、それに関連する限定グッズはピンクだったりと、統一が必要な演出にもかかわらずバラバラなことがめだっていた。小巻さんが出した答えは「コンセプト会議で組織全体に横串を通す」という。
グッズを手掛ける販売部、イベントを展開する企画部、そして営業部や運営部などを通じて必要な連携が足りないとみての結論。「コンセプト会議」では、これらの部署ごとの代表者が集まって企画のコンセプトを共有するようにした。