中国人の「バーゲン愛」に火がついた!
それにしても、米中貿易戦争が激しくなるなか、コストコの中国進出はなぜ、これほどまでに順調な滑り出しを見せているのでしょうか。
じつは、海外の小売業にとって、中国市場は難攻不落のマーケットでした。コストコ進出の数か月前には、フランスの大手スーパー、カルフールが中国市場から撤退。英国の大手スーパー、テスコも撤退のウワサが耐えません。あのアマゾンですら中国でのネット通販から手を引いたほどです。
海外メディアは、コストコ独自の「会員戦略」が中国人の「バーゲン愛」に火を付けたと分析しています。
コストコは、オープニング特別企画として会員料金を大幅値下げ。米国の会員料金と比べて約3割安の「中国特別価格」が、中国人のハートをつかんだようです。
また、牛乳や牛肉といった食料品のバーゲン価格が、中国人消費者を「狂わせた」と分析。大量の商品を破格で購入するという「コストコ戦略」が、もともと「バーゲン好き」の中国人に「はまった」のだそうです。
さらに、「会員制という仕組みが中産階級の優越感をくすぐった」とか、「貿易戦争の影響で米国製品が値上げされるなか、コストコ価格が魅力的だった」といった状況も、コストコフィーバーの背景にあるようです。
それでは、「今週のニュースな英語」は「cult」(信仰、礼賛)を取り上げます。日本語でイメージする「カルト」よりも、幅広い使い方をするようです。
the tea cult(茶道)
the cult of jogging(ジョギング熱)
cult word(流行語)
下記の例文にもあるように、動詞build(築く)と合わせて「カルトを築く、熱狂的な信者をつくる」といった言いまわしも覚えておきましょう。
build a cult brand
(カルトブランドを築く)
米中貿易戦争の影響で世界経済のかげりが指摘されるなか、上海のコストコフィーバーは明るい話題でしょうか。店頭でのインタビューで、「貿易戦争? そんなの関係ないよ!」と語っていた買い物客の姿に、中国消費者の強さを見せつけられた気がしました。(井津川倫子)