国民の好感度は上げたが、検察に手の内見せてしまった
聯合ニュース(9月4日付)「文大統領側近の法相候補任命 賛成46.1%に上昇」が、こう伝える。
「韓国の世論調査会社リアルメーターが9月4日に発表した調査結果によると、チョ・グク氏の法務部長官任命について、反対するとの回答が51.5%、賛成は46.1%だった。8月30日に実施した同じ内容の調査結果(反対54.3%、賛成42.3%)と比較すると、反対意見が2.8ポイント低下し、賛成意見が3.8ポイント上昇した。特に記者懇談会を視聴したとする回答者では、賛成(53.4%)が反対(45.7%)を7.7ポイント上回った。一方、視聴していない回答者では、反対(60.0%)が賛成(35.6%)より24.4ポイント高かった」
テレビに映るチョ氏を見て、好感度を上げた国民が多かったのだ
ちなみに、中央日報が独自に行なった8月23日時点の世論調査では、反対60.2%、賛成27.2%だったから、国民の怒りはどんどん冷めていることになる。これは文大統領にとって「吉」と出るか「凶」と出るか――。ハンギョレ(9月4日付)「チョ法務部長官候補、疑惑解消は果たせたが...聴聞会のない任命は政権の『負担』に」が、おもしろい分析をしている。
まず、プラス面は――。
「チョ・グク氏を危機から救い出す『太い綱』となるか、それとも足を引っ張る『失策』となるか。政界内外ではチョ氏の『夜通し記者懇談会』を巡る損得勘定が行き交った。チョ氏個人は確かに得をした。国会聴聞会であれば野党議員の怒号で釈明が途切れたはずだが、記者懇談会では自分が主導権を握って釈明を十分に行うことができたからだ。龍仁大学のチェ・チャンニョル教授は『状況がどうなっても文大統領はチョ氏を法務部長官に任命するだろうが、チョ氏が釈明を十分にしたという点は、大統領に任命の大義名分を与えた側面がある』と話した」
一方、マイナス面はどうか――。
「検察の捜査を受ける立場としては『危険な選択』だった。検察としては、捜査対象の防衛論理を学習する機会となったからだ。検察がチョ氏の釈明を覆す物的証拠を見つければ、致命傷を受ける可能性もある。検察特捜部出身のある弁護士は『チョ氏が否定した各点は捜査計画を立てる際に参考になる。政治的にはやむを得ない記者懇談会だったが、捜査の観点からすると失策だった』と語った」
いずれにしろ、文在寅政権は「チョ・グク リスク」を抱えたまま、さらなる荒波の航海に旅立つというわけだ。
(福田和郎)