「働き方改革」の旗手サイボウズ なぜ大ナタ振るい変身できたのか

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「チームワーク総研」設立しメソッド事業

   セミナーでは、チームワーク総研のシニアコンサルタント、なかむらアサミさんが講演。同社の社内での改革について、メソッド事業の取り組みなどについて説明した。

   サイボウズが社内で改革に乗り出したのは2005年のこと。 競合するライバル会社が増えて競争激化し、勤務時間が長くなるなど「いまでいうブラック企業」の状態だった。それにより、離職率は28%にまで上昇。社内では危機感が募り「多くの人がより長く、より成長して働ける会社になるべき」と、人事部門などの担当部署からボトムアップ的に動きが始まったという。「あのままだったら、会社がいまあったどうか......」と、なかむらさん。

   「10年後に夢と希望を持てるような、持続可能な会社にすべき。いまの世間で行われている改革は小手先だけで、そこまで本質的ではないよう」と、なかむらさんは言う。そこで、サイボウズはどうしたかというと「100人いれば、100とおりの人事制度があってよい」という方針のもと、従業員一人ひとりの個性が違うことを前提に、公平性はさておき、それぞれが望む働き方や報酬が実現されればよいと考え、大胆な多様化を実現した。

   複業(副業)自由、残業なし、週3日勤務OKなどのほか「都合に合わせて働く、場所と時間を選べるウルトラワーク」「最大6年の育児介護休暇」「退社しても再入社できる育自分休暇」などを制度化。副業をするにあたっては会社に断りを入れる必要はない。

   こうした制度ができるのは、同社のグループウエアなどのツールが支えとなり、また、多様性重視の風土があったからこそ。特に業務改善アプリの「kintone」は、ユーザーが使いやすい仕様で容易に業務管理アプリの作成ができるため、部署やグループ単位で設計ができる点で自由度が高く、多様性文化にも馴染みやすい。

   また、こうした労務体制のなかで軽視される可能性がある従業員同士のコミュニケーションを円滑化するため「部活動」を推進。活動の記録をオンラインで残すよう求め、それと交換の形で「部費」を提供している。離職率28%のころは従業員同士の仲がいいとはいえず、その反省から取り組んだ社内融和策の一つだ。

   こうした改革で離職率が4%ほどに抑えられるなど成果があがった。また、青野慶久社長が、改革で導入された育児休暇制度を利用。上場企業の経営者として初めて育休を取得し、イクメン社長として知られるようになり、この件を通してサイボウズの働き方改革も知られるようになったという。

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