給与体系だけを整えても社員の不満は解消できない! そのワケは?(大関暁夫)

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「給与の階段」と「資格の階段」さらに......

   このような状況を受けて両社長とも、「給与制度の作り方の基本を教えて欲しい」というのが直接のリクエストだったのですが、こういった場合に給与体系だけを決めて、制度を走らせればいいのかと言えば、決してそうではありません。

   給与体系ができれば、「給与階段」は見える化されますが、自らのキャリアプランを思い描くうえでの「階層」の見える化には至りません。さらに申し上げれば、自分がなぜ今のランクに属しているのかの正当性も見出せず、依然として公平感は見えてこないのです。

   つまりは、給与体系だけを作って制度化しても、こうした問題は根本的な解決に至らないのです。

   では、どうしたらいいのか――。実効性の高い給与制度を作るには、同時に資格制度を明確化してそれと給与制度をリンクさせる必要があります。資格制度とは、たとえば総合1級から始まって3級以上になると管理職相当の主事、さらには統括管理相当の参与に上がるといった「資格の階段」を作ることです。

   さらに並行して制定する必要があるのが、役職制度の明確化です。これは資格が主事になると課長職への任命が可能であるとか、参与で部長職相当となるとかという取り決めと、その昇格要件および役職ごとの役割の明示化です。

   中小企業にありがちな名ばかり部長、名ばかり課長は、その役職への昇格が明確な基準によるものではなく、ただ長く勤務しているからとか社長の覚えがいいから、といった理由で昇格させた人たちです。

   役職ごとの役割を明示していないがために、昇格後も大きな責任を負うでもなく昇格前と何ら変わらない仕事に従事している、という結果になって公平感が損なわれ周囲の不満を生むことにもなります。

   すなわち、それぞれの役職に求められる資質と役割期待を明確化し、納得性の高い役職者運用をする必要があるのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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