トランプ米大統領が「リブラ」を嫌うワケ
では、そんなリブラはビットコインと、どう違うのでしょうか。
下表のように、大きな違いは価格の安定と送金の速さでしょう。
ビットコインは、1年で何倍になることもあれば、価格が急落することもあります。安い時に買うことができればいいですが、高い時に買ってしまえば資産が減ってしまいます。これでは、資産の保管先としてはイマイチです(それでも、インフレ率の高い国からは重宝されていました)。
そこで、米ドルを含む主要通貨4つをリブラの裏付けとすることにより、価格が安定化するように設計されています。リブラを買えば、間接的これらの4通貨を買うことができるのですから、自国通貨が不安定な国の人は喜んでリブラを買うのではないでしょうか。
送金と決済についても、公表されていませんが恐らく短時間で行われることが予想されます。また、送金手数料も銀行よりも大幅に安くできるでしょう。
そうなれば、リブラの経済圏ができるわけです。世界中、どこでも使える安定した通貨の誕生です。日本でも、アメリカでも、トルコでもブラジルでもリブラが使えます。旅行に行くときに、わざわざ現地通貨に両替する必要もありません。貿易を行う企業がリブラを使えば、円高・円安に悩まされることはなくなるのかもしれません。
もしかしたら、基軸通貨が米ドルではなくなる日が来るのかもしれないのです。
こういった事態を危惧したのでしょうか――。リブラが発表されてから、主要各国の要人はリブラを批判するばかりです。トランプ米大統領は「リブラに地位も信頼性もない」と批判しています。公開当初あったリブラの日本語ページも、いつの間にか英語ページへと誘導されるようになっています。
多くの人々に力を与える理想たっぷりのリブラですが、その船出は前途多難といえます。(ひろぴー)