来春の新卒採用も2019年6月から就職活動がはじまり、内定(内々定)をもらっている学生の方も多いのではないでしょうか。
しかし、就職説明会や面接のときには、
「うちの会社は定時で帰れるので安心してください!」
「先輩や上司はみんな優しく教えてくれますよ!」
と聞いていたのに、いざ入社してみたら、毎日残業させられたり、先輩や上司に理不尽に怒られたりと、完全にブラック企業だったなんてこともあるようです。
そうなってしまった場合、すぐに辞めても問題はないのでしょうか――。今回はこちらを、グラディアトル法律事務所の弁護士、北川雄士先生に聞きました。
労働者には「解約の自由」があるけれど......
まず、ブラック企業とはどういう企業が当てはまるのでしょうか――。ブラック企業とは一般に、従業員に過重なノルマや度を超した長時間のサービス残業を課すなど違法性の高い働き方を強いたり、精神的ないじめや嫌がらせをしたり、賃金の未払いなどが常態化しているような企業の総称で、そういった企業が当てはまることになります。
また従業員を酷使し、使い捨て、自主退職に追い込む企業をはじめ、従業員の退職希望を拒否し、失業保険申請に必要な離職票を出さないまま働かせ続ける企業などもブラック企業に当たります。
次に、入社してしまった会社がブラック企業だった場合、すぐに辞めても問題はないのか、です。
ブラック企業であろうがなかろうが、法律上、労働者には「解約の自由」が認められていますので、退職は2週間の予告期間をおけば、いつでも可能(民法627条1項)です。
その意味で、すぐに辞めること自体には問題はありません。
しかし、すぐに辞めることができるとはいえ、信義則(信義誠実の原則)に反するような退職であった場合には、後に契約責任や不法行為責任を問われる可能性はあります。
具体的には、申し出の時期、退職の理由はもちろん、退職に至る経緯や態様、また企業側のそれまでの事情や対応など、さまざまな要素を考慮したうえで判断されることになるでしょう。