その96 美観に欠ける中国の「簡体字」 「こんなものいらない!?」(岩城元)

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じつは日本の漢字もおかしい

   日本の漢字改革でもいろいろとおかしなことが起きてきた。たとえば、「器」「戻」「突」といった字の中にあるのは「大」だが、元来は「犬」」だった。それにはそれなりの意味があったのだが、なぜか「犬」の肩にあったテンを取ってしまった。

   そんなこともあるから、僕らは中国の簡体字に対して一方的に悪口を言う資格はない。それに、まあまあ「許せる」簡体字もたくさんある。しかし、これまでに挙げたような簡体字はどうも見苦しくて、漢字の「本家」中国にとっても恥ずかしいことではないだろうか。

   しかも、旧来の漢字を簡略化した1950年代と現在とでは、事情が変わっている。字は手で「書く」のではなくて、キーボードに「打つ」のが普通になった。画数が多いかどうかなんて、どうでもよくなってきている。

   「内政干渉」と言われるかもしれないけれど、以上の点を考えて簡体字を見直し、極端に簡略化したものはできるだけ本来の形に近づけてほしいのである。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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