自分に甘く人には厳しい「ゆとり」女子
梨花はゆとり世代ど真ん中。こちらはいかにも気が強そうな見た目。2年目で経験がないにもかかわらず、とにかく自信に満ち溢れている。発言だけは一人前なのだ。
自分にはめちゃくちゃ甘いが、人を見る目は厳しい。梨花は早々に杏奈を「男性に媚びを売って営業してるだけ。大したことない」と、判断したようだった。
とにかく、杏奈に対して敵対心をむき出しにしているのがよくわかった。ふだんから杏奈には絶対に話しかけない。営業経験も少なく、先輩にフォローしてもらわなければならないことはたくさんあるのに、杏奈にはまったく頼ろうとしなかった。
それどころか、杏奈に対して営業成績を張り合うようになっていった。
ある時、杏奈が休みのときに杏奈のお客様が来店。担当したのは梨花。そして契約に至った。私の常識ではこの場合、成績は折半。もともと杏奈のお客様なので、日頃の杏奈の活動もあって契約がとれたと判断する。ところが、梨花は当たり前のように自分の成績に!
「それはおかしい」と言ってはみたが、「私が契約したんですよ」と当然のように言い返されてしまう。とにかく次の日、杏奈が出勤してきたら話し合うようにと伝えた。
次の日、杏奈が出勤し、言い合いが始まった。ゆるふわ小動物系の杏奈が、梨花に対していつもより低く、ドスの効いた声で言った。
「何で自分だけの成績にしたん? 私のお客さんやで。」
と、かなり怒っている様子。もちろん語尾に♡なんてない。
梨花「何で成績を半分にしないといけないんですか? 私が営業して、契約できたんですよ。」
杏奈「は? もともと私が頑張って営業していたお客さんやで。最後に契約したからって全部自分の成績にするなんて非常識やわ!」
梨花「わかりました。じゃあ、半分でいいです。」
杏奈「じゃあって何なん?」
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