日本は人身売買に加担する国ではない!
仕事、給料、生活、文化・習慣とストレスを感じる外国人技能実習生は少なくない。
技能実習生の失踪問題は、そのストレスから起こることが多い。たとえば、職場で乱暴な扱いを受けたり、契約書どおりの賃金が支払われていないなどが失踪の大きな原因となっている。
門脇さんは、
「結局は受け入れる側に、安価な労働力として彼らを雇おうとする企業が未だに存在するところに問題があります。数こそ減少していますが、一部の日本企業に残る悪い癖は、『最低賃金さえ払えば、法律には違反していないでしょ』と、単なる労働力として機械的に考えていること。それがそもそも間違っていて、技能実習生の方々はさまざまな希望や期待を持って遠く母国から学びにきている。習得の難しい日本語も懸命に勉強して渡航してくる。本当にまじめな方々なんです。一部の不当な行為を行う企業があるから、誠実な企業や、そもそもの制度自体まで色メガネで見られる」
と憤る。
ベトナムからの技能実習生は、夢をもって来日している。日本でお金を稼いで家族に仕送りする傍ら、日本の習慣、日本語を覚えて、ベトナムに帰ってから日本で学んだ事を活かして活躍したいと。
「それを日本の企業や、監理組合、ベトナムの送出機関が、彼らを困窮させるようなお金のやり取りをしていいんでしょうか。かなり少なくなってきていると思いますが、ベトナム現地に面接に行って送出機関に過剰な接待を求めたり、ホテル代、航空運賃まで送出機関に負担を強いる人たちがいる。そもそも、そのお金は誰が払ったものでしょうか。実習生として渡航する方々が支払う手数料じゃないですか。『日本は人身売買に加担する国である』。そんなふうに思われていいんですか。そんな訳ありません。
少なくとも、当社にかかわるベトナム人には、そんな思いはさせたくありません。当社が出資して、ハノイに日本語学校を創ったのは、日本で働きたいベトナム人に日本語を教えるのはもちろんですが、送出機関との協力体制の下、実習生として日本に渡航する方々の金銭的、精神的負担をできる限り取り除くため。これは追求し続けなければなりません」
と、門脇さんは明かす。
外国人技能実習機構の設立や、この4月の入国管理法の改正で、こうした不正が一つずつ減っていくことにも期待を寄せている。
今、日本で働いてみて、家族や親戚、友人を日本に呼んで一緒に働きたいと思うか、この先もずっと日本で働きたいと思うか、4人に聞いた。
ロアンさんは、「はい。今はそこまでは考えていないけど、いずれは家族と友達を連れてきたい」。ロンさんも「わたしは、できれば日本で家族と一緒に働きたいです」と言う。
安藤さんは、「ボクはみなさんがずうっとここで、一緒に働いてほしいです。そのために、社員同士がさまざまな場面で助け合える環境を整えていきたい」と話した。
(おわり)