ストレス解消は「睡眠」「お出かけと買い物」
日本企業の多くは、たとえば手の洗い方まで指示されるような、かなり細かくマニュアル化している。それは、イヤにならないのだろうか――。
ロアンさんは、
「仕事や生活の細かな部分は、日本人従業員や技能実習生の先輩たちから教えてもらいました。細かいところまで指示されて、イヤな気持ちになることは、まったくないです。そういうルールがあるとわかっているので、むしろきちんと受けとめています」
と言う。
日本人でも面倒くさいとか、このくらいいいかな、と軽い気持ちでルールを破る人がいる。そういうふうに思ったことはないのか、聞いてみると、
チャン・ドゥック・ロンさんは、
「ベトナムと違って細かなところまで、みなさんに教えてもらっていますし、自分が間違ったところをきちんと教えてもらえるので、面倒くさいなどと思ったこともありません。当然のことだと思います」
と言いきる。
総務人事課の安藤雅幸さんは、
「食品製造の作業なので、たとえば衛生ルールは大切ですし、欠かせません。当社では、最初に母国語のDVDなどを見てもらいます。手の洗い方などの細かなルールを動画で見てもらい、日本人従業員と通訳のベトナム人従業員が一緒に就いて、実際にそこで手を洗ってもらうなどしながら指導しています。ほかの作業でも、同じように指導しています」
と、研修や日ごろの教育は丁寧に進めている。
その一方で、日本人の働き方には長時間労働の問題があり、「あまり手本ならない」ところもある。安藤さんは、「マジメに働いてくれることは非常にありがたいが、やりすぎはよくない。トレーニングと一緒で、鍛えすぎるとカラダが壊れてしまう。技能実習も一緒。ほどほどに。でも、頑張ってください」と、4人に会社の考えを改めて説明する。
工場での長時間労働の問題は、日本人を含め発生していないものの、4人は日本人が働くより、もっとストレスを感じているはず。
ゴー・テー・チェンさんのストレス解消法は、「睡眠をよくとること」。ブェン・ティー・レー・フェンさんは、「お出かけと買い物」。ロアンさんは、「ベトナムにいる家族や友だちと連絡をとること」だそうだ。