米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は2019年8月23日の講演で、追加利下げに前向きな考えを示唆。それにより、次回9月17~18日に開かれる米公開市場委員会(FOMC)が注目されるなか、リスク回避のドル売りが進む可能性がある。
その一方で、激しさを増す米中貿易戦争は報復合戦の応酬で、ますます深刻化する。嫌気から、米ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は急落。東京株式市場への波及は必至だ。
どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 下値固めの展開へ
日経平均株価予想レンジ:2万円~2万1000円
2019年8月23日(金)終値 2万710円91銭
今週の日経平均株価は、下値固めの展開となりそうだ。
前週の日経平均株価は、米国株式市場の上昇を受けて4週間ぶりに上昇した。ドイツや中国で景気刺激策が検討されているとの報道が好感された。ただ、週末に米ジャクソンホール会合でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演を控えて、様子見気分の強い取引だった。
今週の日経平均株価は、エスカレートする米中貿易摩擦を背景に、上値の重い展開となり、下値固めの展開となりそうだ。
米国の中国への追加関税に対して、中国は9月1日から最大10%の追加関税を行う米国に対する報復関税を明らかにしている。これを受け、トランプ米大統領は新たな中国への追加関税とともに、米国企業に対して中国からの撤退を検討することを求めた。
こうした米中貿易摩擦の激化が、相場の上値を抑えることになろう。半面、パウエル議長が追加利下げを示唆したことが、相場の下支え要因となりそうだ。
東京外国為替市場 リスク回避の「ドル売り」予想
ドル・円予想レンジ:1ドル=104円00銭~107円00銭
2019年8月16日(金)終値 1ドル=105円39銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルの下値を試す展開になりそうだ。
前週のドル円相場は、ドルが弱含みの展開となった。米中貿易摩擦の激化によって、リスク回避のドル売りが強まった。
今週のドル円相場は、米国と中国の関税報復措置合戦による摩擦の激化と長期化に加え、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が追加利下げに前向きな姿勢を示したことで、リスク回避のドル売りが予想される。次回FOMC(米連邦公開市場委員会)は9月17~18日に開催される予定だが、それまでの期間は利下げ幅をめぐって神経質な相場展開となりそうだ。
経済指標は、国内では27日に7月企業向けサービス価格指数、8月の消費動向調査(内閣府)、30日に7月の失業率・有効求人倍率、7月の鉱工業生産などが予定されている。
海外では、29日に米国の4~6月期GDP(国内総生産)、30日に米国の7月個人所得・個人支出、31日には中国の8月製造業PMI(購買担当者景気指数)などが予定されている。
(鷲尾香一)