「出会い系サイト」で騙される男女高校生
井上さんはこう説明した。
「子どもが『無料 アダルト』などのキーワードで検索して見るケースがありますが、この事例のように、ほかのサイト、たとえばニュースサイトを見ている時に、あちこちをスクロール、タップしているうちにアダルトサイトにつながり、パニックになる事例も多いと思われます。というのは、アダルトサイトに関する相談は、小学生から高齢者まで、年代・男女を問わず、まんべんなく上位にくるからです。なぜかはよくわかりませんが、そもそもアダルトサイトはトラブルが非常に多いジャンルなのです」
ネット上の画面に無数にあるバナー広告には、アダルトサイトにつながる罠が仕掛けられているケースが多い。頻繁にスクロール、タップを繰り返すうちに不用意にクリックしてしまう例が少なくないのでは、と井上さんは推測する。
さて、「出会い系サイト」はどうか。さすがに小学生ではほとんど相談例はなく、中学生の男子に年間10数件、女子に10件ほど出てくる。高校生になると、男子に40~50件、女子に30数件とぐっと増えてくる。こちらは当人たちに「異性と出会いたい」「お金を得たい」というはっきりした目的意識がある。男子の場合は、出会いもないのにカネだけだまし取られる。女子の場合も「相談相手になるだけで高収入が得られる」という広告につられるが、やはりカネだけとられるケースが多い。
たとえば、男子高校生の場合はこんな事例だ。
――出会い系サイトで女性と知り合い、ポイントを購入してやり取りを続け、実際に会うことになった。しかし、ポイントを消費させられるだけで、結局、会えなかった。ネットで調べると、女性はサクラで有名だとわかった。合計3万2000円のポイントを購入したのに、騙されたと思うと悔しい――
女子高校生の場合はこんなケースだ。
――スマートフォンでアルバイトを検索中に「メール相談にのれば高額収入が得られる」と書かれたサイトを見つけて登録した。登録は無料だが、知り合った男性とやり取りを続けるにはポイント購入が必要だった。男性との相談が長引き、メールを続けるにはさらにポイント購入が必要となり、サイト運営事業の口座に計4万円を振り込んだ。しかし、アルバイト料は入らなかった。サイト運営事業者の電話番号や住所は不明だ。返金してほしいが、自分の電話番号や名前を知られていることも不安だ――
井上さんが、こう説明する。
「出会い系サイトは、登録すると相手とのやり取りを続けるためにポイントを購入させられます。『1つのやり取りにつき○○ポイント』といった具合です。二つの事例のように、出会いもなく、お金も得られず、高額なポイント代だけを請求をされたといった相談が多いのです」