側近の数々のスキャンダルを国民の目からそらす?
その一1つ目は、最近メディアを騒がせている文在寅大統領の側近中の側近で、後継者と目されているチョ・グク前民情首席秘書官のスキャンダルだ。チョ氏は次期法務大臣に指名されているが、民間投資会社への巨額投資、親族を介した不動産の偽装売買や財産隠し、娘の大学(釜山大学)不正進学疑惑、息子の軍入隊忌避疑惑などに見舞われているのだ。
ちょうどNSCが開かれる8月22日当日には、娘の疑惑について聯合ニュース「釜山大 法務相候補の娘の大学院入学に関する調査開始」がこう報じていた。
「釜山大は22日、法務部長官候補に指名されたチョ・グク氏の娘が同大医学専門大学院に入学するまでの過程について内部調査を進めていると明らかにした。チョ氏は長官候補に指名されてから、娘が高校生のときに医学論文の第1著者に名を連ね、大学や大学院に不正入学したとの疑惑が持ち上がり批判にさらされている。釜山大側がこれまでに確認したところでは、チョ氏の娘が論文の第1著者として名を連ねた事実は本人の自己紹介書にはなかった」
「左翼」と言われる文在寅政権は、大企業批判が政策の一丁目一番地だ。法務大臣はその企業の不正を取り締まる立場にある。こうした企業不正疑惑に加え、特に若者層から猛批判を浴びているのが娘の大学進学疑惑である。高校生に医学の専門論文など書けるはずがなく、チョ氏自身もほかの疑惑については「批判を真摯に受け止める」としていたが、娘の疑惑については「フェイクニュースだ」と真っ向から否定していたのだから、窮地に陥るニュースだ。
聯合ニュース(8月22日付)「与党歓迎 最大野党は『理性失った』」は文在寅大統領のとんでもない狙いをこう伝える。
「最大野党・自由韓国党は文在寅大統領が、法務部長官候補に指名したチョ・グク前民情首席秘書官の家族に関する不正が取り沙汰され、この人事に対する批判が高まる中、このような決定を下したのは、批判をそらす目的があると非難した」
そして、中央日報(8月23日付)「青瓦台、GSOMIA破った......韓日米の安保地形に亀裂」はこう皮肉っている。
「野党・自由韓国党のナ・ギョンウォン院内代表は『結局、この政府が国益よりは政権の利益に伴う決定を出した。チョ・グク氏で乱れた政局と関係がなくはない。今日、文在寅大統領はチョ・グク本人を守るために、国民全員の"祖国"を捨てた』と批判した」
「チョ・グク」は韓国語で「祖国(チョグク)」を意味するのだった。