日本はドバイを見習え! 人口の6倍が訪れる砂漠の街のインバウンド(気になるビジネス本)

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ビジネス・エコシステム戦略の適用を

   ドバイでは、インド人向けプロモーションをはじめ、空港ビジネスの新分野開拓や他の観光資源開発でも「明確なリーダーシップ」「トップダウン」など「組織を上流から囲い込む戦略」により実施してきた。砂漠の都市ドバイが、世界一の観光収入国になったのは、世界トップクラスの高層ビルやショッピングモール、7つ星ホテルなどを備えただけではなく、それらを目指して訪れるための足回りもしっかり準備したのだ。

   日本には、ドバイのアンチ観光の気候風土とは対照的に「変化に富んだ気候」「風光明媚な自然」「多様で奥深い文化」「種類と価格にバラエティーがあり質の高い食事」という、観光に有利な資源がそろっている。本書では、それらを十分に活用しているだろうか―と、疑問を投げかける。

   ドバイは、観光部門のインド人シニア・マネジャーのように、外国人を活用して観光立国を目指すことを明確化。「人口減少の日本は、もしかするとドバイに外国人の活用方法を学ぶことでインバウンド・ビジネスの持続的かつ飛躍的拡張が可能になるかもしれない」という。

   日本のインバウンド増大は近年のことであり「観光先進国」の実現を目指して「明日の日本を支える観光ビジョン」が策定されたのは2016年3月。観光立国に向けた動きは緒についたばかりといえる。それだけに、パラダイムシフトが必要なわけだが、本書では、ツーリズムを単なる観光としてではなくインバウンド・ビジネスとして事業機会を広くとらえ「ビジネス・エコシステム戦略の適用」を提唱。インバウンド・ビジネスに関わる人々・関連する組織全体を顧客の視点からとらえて、市場創造(ブルーオーシャン戦略)を促している。

   観光や旅行、娯楽関連業界や自治体関係者ばかりでなく、新たなビジネスチャンスを探っている企業あるいは個人にも、参考になる一冊。

「インバウンド・ビジネス戦略」
池上重輔監修
早稲田インバウンド・ビジネス戦略研究会著
日本経済新聞出版社
税別2000円

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