「メダル至上主義」は健全とは言えない
五輪で金メダルを獲得した選手やチームは立派だと思う。そして、その栄誉は選手個人やチームに与えられるべきもので、JOCや政府の栄誉ではないはずだ。それなのに、「上から目線」で金メダルの獲得目標を示すなんて、僕はどこかおかしいと思う。
また、金メダル、金メダル......と叫ぶことで、銀メダルや銅メダルの価値を必要以上に下げてしまわないだろうか。金メダルを期待された選手個人やチームが、たとえ銀メダルや銅メダルに終わったとしても、世界の2位であり、3位である。それはすごいことである。8位入賞でもたいしたものである。
五輪と言えば、何よりもすぐメダル、それももっぱら金メダルの獲得に関心が集まる――そんな「メダル至上主義」は決して健全とは言えない。もっとおおらかな気持ちでスポーツ自体を楽しみたいものである。(岩城元)